クラシックを聴きに行くとき。
楽しみなことのひとつは、幕間で飲むコーヒー。


クラシックのコンサートにはたいてい20分程度の休憩時間がある。
その時間には。
席にいたりしないで、ロビーのバーコーナーに行き。コーヒーを飲むことにしている。

プログラムをめくりながら、あるいは一緒に行ったひとと前半の感想や他愛ない話などをしながら。
ゆっくりとコーヒーを飲む。
同じようにときを過ごすひとびとの、心地よいざわめきのなかで。


開演を告げるベルが鳴り。
ひとびとは急いで一斉に席に戻る。


その感じもなんとなく好き。
みんなが目的を、楽しい気持ちを一にしている、そんな感じ。


コンサートホールのなかでいちばん好きなのは
サントリーホール。
音響もいいし、インテリアやパイプオルガンがあるのもいい。
他にもみなとみらいホールやカザルス、紀尾井、トリフォニーなど好きなところはたくさんあるけれど。
なかでもサントリーを気に入っているのは、これからはじまる演奏会を待つこと、その喜びを醸成させる仕掛けがあちこちにあるところ。
というよりも。
そんな仕掛けがあるなと思わせずに、仕掛けを配しているところ、なんだけれど。


たとえばホール前のカラヤン広場。
ホールが開場するときに動き出すパイプオルゴール。
背筋の伸びたホールスタッフ。
赤い絨毯の階段。


ホールに一歩ずつ足を進めるごとに、
今夜の演奏会への期待がどんどん高まっていく。


そしていよいよ。
演奏会がはじまる。


一度映画に行くと次々と映画を見に行きたくなるように。
いまはクラシックを聴きに行きたくてたまらない気分。
次はラフマニノフのピアノ協奏曲、それも2番を聴きに行きたいな。
あるいはチャイコのヴァイオリン協奏曲を。
素敵なコンサートホールで。