龍土軒 から葉書が届いた。
夏のメニューを告げる葉書。


その葉書には。

特選メニュー、バカンスへ

そんなコース名とともに、具される料理の数々が記されている。


たとえば。
冷静コンソメとカリフラワーのクリーム
サーモンとすずきでの海の幸包み
鴨のコンフィとじゃがいものソテー
マンゴーとオレンジのクレープ
といったように。


レストランに行くと。
時にまったく判読できないメニューリストに行き当たることがある。
料理にどんな名前をつけようとも、それはお店の勝手だけれど。
でも私は、わかりやすいシンプルな名前が好きだ。
いちいち「この〝バレリーナ風に〟というのはどういうことですか」なんて確認するのも悪いなあと思ってしまうし、悪いなあという気分は、楽しい夜にはそぐわない。
だいたいすべて質問しなければ意味が通じないメニューリストだとしたら。そんなものはいらないではないか。
もちろんメニューから想像を膨らませられることも大切だ。
大切だけれど。想像することさえ難しいメニューの名前では困ってしまう。


それにしても。この夏のコースが
バカンスへ、とは。


なんて簡潔な、そして美しい名前。
とても好ましいと思う。
わかりやすくて正統で、そして奥行きがある。
龍土軒らしい名前。


しばらく行っていないから
そろそろお邪魔しようかな。


バカンスへ行くような気分で。
夏のメニューをいただきに、龍土軒へ。


#龍土軒[西麻布]