仕事のあいまに、友人と食事に行った。
数年前に知り合ったその友人とは、半年に一度くらい食事をしている。
いつも人生の目標を掲げ、そしてそれを遂行する能力があり、努力を厭わないひと。
料理教室で料理を究め、クラシック音楽に造詣が深く(CDだけでも千枚くらいはあるらしい)、グリークラブで歌をうたい、ジムで汗を流す。
総研の研究員をしながら難しい経済書を趣味的に翻訳する。その本がヒットする。時間ができたからと司法試験を受ける。そんなひと。
もちろん偶然なんかではなく、彼の場合はすべてが必然だ。
そう思えるひたむきなストイックさがあって、だから尊敬しているのだけれど。
その彼が、年末には東京を離れ、実家に戻ることにしたという。
彼の実家は神戸で、そして自営業をしている。
この5月に経営をされいたお祖父さまが亡くなり。
父親のいない彼は、それを機に戻る決断をしたという。
正直言って、とても驚いた。
いつか東京を離れることは知っていたけれど、まだまだ先のことだろうなと勝手に思っていたから。
実際に彼自身も、40歳くらいまでは戻らないと思っていたそうだけれど。
家族と、そしていまの環境や仕事と。
その2つを天秤にかけたときに。
仕事の代替は自分でなくてもいいけれど、家族の代替は効かないから。
だからどう考えても、家族のほうに比重が傾いたんだと、彼はいう。
その気持ちはとてもよくわかる。
私も父が病気になったときに、同じことを思ったから。
この前の週末に、神戸から後輩がやってきて、結婚の報告をしてくれた。
とても嬉しい報告。
はじめて出会ったのは、彼がまだ学生の頃だった。
だから私にとって彼は、まだどこか学生の頃のイメージが残っている。
立派な社会人になったいまも、どこかに。
その彼が結婚する。
奥さんになるひととは会ったことがないけれど、彼が選ぶひとだから、きっと素敵なひとなんだろう。
幸せになってほしいな。これからも。そんなふうに思う。
会社の後輩から、上海に異動するというメールがきた。7月から。
弟分のようにかわいがっていた後輩。
おいしいものを食べに連れて行ったり、かわりに東京タワーが見える素敵なバーに連れて行ってくれた。
新しいマーケットの開拓を一任された彼は、チャイ語も英語も話せないけど頑張ってくるよと溌剌としたメールをくれた。
頑張っておいで。キミがいないのは少し淋しいけど。
そんなふうに思う。
同期の友達も、来月からアメリカへ旅立つ。
会社を辞めて、学校経営を学ぶための2年間の留学。
彼女らしい決断のとき、そして進路。
それぞれの転機。
祈り、そして祝福したいと思う。
みんなの決断が、幸せな結末につながることを。
そして私の決断も。
さてやっと仕事が終わり。
これから家に帰る。
もうそろそろ空が白むころ。
また朝がやってくる。新しい一日。
私もがんばらなくちゃね。