日曜日はお昼頃まで眠った。
とてもよく眠ったせいで、やっとすっきりする。
夕方に、お祭りに行ってきた。
歩いていける距離の神社で、例大祭をやっていたのだ。
私も恋人も、露店を冷やかしながら歩くのがとても好きなので、いそいそと出かける。
初めて行ったそのお祭りは、想像していたよりも遥かに大きくて。
たくさんの人で賑わい、商店街や川沿いの道を、屋台がずっと軒を連ねていた。
品川のはずれのお祭り。
屋台を一つずつ覗きながら。
串焼き、唐揚げ、大阪焼き、フランクフルト、烏賊のげそ揚げ、シャーピンを食べる。
さらに神社の境内にある休憩所で、焼き鳥、おでん、さざえを食べる。
さすがにクレープは食べ切れなそうなので断念する。
吸い込むとドナルドダッグの声になるバルーンを買って、ふたりで試す。交代に。
私の声はあまり変わらなくて、恋人の声がすっかり変わってしまって、それがなんだかおかしくて。何度も試す。
お祭りの雰囲気はとても楽しい。
揃いの半被を着た男衆。昼間からすっかり赤ら顔のおやじさん。はしゃぎすぎてお母さんに怒られる子どもたち。照れたように歩く小さくて若い恋人たち。
いろんな人たちが、それぞれの少し特別な気分を持ち寄り行き交う場所。
金魚掬いをする。
私は金魚掬いがとても得意で、一度に50匹とったりできるのだ。
前もそんなことを言いつつ一匹もとれなかったので、金魚掬いに関してはすっかり信用をなくしているのだけれど。
昨日は赤い金魚が一匹とれて、屋台のおにいさんがおまけに一匹くれた。
小さくてかわいらしい、2匹の金魚。
帰り道のスーパーで金魚鉢を買って帰る。
2匹の小さな金魚のために。
胸びれの黒い金魚に恋人がくろと名前をつけて、
もう1匹に私がしろという名をつける。
夕方の光に金魚の入った水袋をかざす。きらきらときれいな色がうつる。
お祭りの帰り道。
小さく手をつなぎながら。
私はいつまで、この人の隣を歩いていくのだろうか。
そんなことを考える。
ずっと?
それとも、あと少し?
わからない。
わからなくなってしまったことが悲しいと思う。
どうして男のひとは。
私ひとりじゃダメなんだろう。
こころがいっぱいあるんだろう。
いつだって私はあなたひとりで十分すぎるくらいなのに。
どうして男のひとは。
小さな嘘を積み重ねるんだろう。
いつだって私は本当のことを知りたいのに。
そうして大切なものを見失って、その先になにがあるというんだろう。
大切だとわかりあったはずなのに。どうして。
左手であなたの手を握る。
離れないように、離さないように。
小さな願いをいっぱいこめる。
右手に金魚の袋を持って。
