5月になった。
うすみどり色の木々と木漏れ日、その向こうの青空が美しい季節。
神様の贈り物のような風が、肌に心地よい日々。
今年の連休は、遠出をしないことにした。
借りてきたDVDを見たり、少し遠くまで散歩したり、出先でごはんを食べたり、近くのスパに行ったりする。
布団を干し、夏物のタオルケットに取り替え、スーツをクリーニングに出す。
そんなゆったりとした日常。
恋人と過ごす、静かで穏やかな日。
明日から恋人は京都に帰り、
私は東京で仕事をする。
そして恋人が戻ったら、少し旅に出る。ふたりで。
まだ送り出す前なのに、早く帰ってきたらいいと思う。故郷で楽しんできてほしいと思いながらも。
いま恋人は、飲み会に行っている。
私は違う場所で、こうして今日のことや明日からのことを思い出したり想像したりする。
今日の飲み会は、在日コミュニティの集まり。
最近よく恋人は、在日の仲間のことを話してくれる。それはとても嬉しいこと。これまで殆どひとに話したことがないと聞けばなおさら。
恋人がとても大切にしている仲間。彼のアイデンティティを培うものたち。
だからこそ私もとても大切に思っている、彼の出自。
昼間、話のはずみで。
こんな話わからへんと思うけどな。と言われた。ことがとても悔しい。
わからないけれど。でもわかろうとしている。
たとえば言葉の習得。たとえば彼の国の料理の勉強。そういうことを通して。
些細なことかも知れないけれど、そして歩みは遅いかも知れないけれど。
でもなにもしないでいるよりずっとましだ。
そして理解するということが、付き合うということの大切な要素だと思うのだ。私は。
わかった、ごめん。
と恋人は言ったけれど。本当にわかったのだろうか。
私の気持ちはちゃんと伝わったのだろうか。
伝わっていたらいいなと思う。
すぐにはわからなくても、そのうちわかるようになってほしいと思う。
自分以外の人を信じること、大切に思うということの意味を。
大切な人を大切にするということの強さを。その素晴らしさを。