新しいものはあまり好きではない。


嫌いというわけではもちろんないけれど、
クラシカルなもの、スタンダードなもの。
惹かれたり落ち着いたり求めたりするのは、たいていそういうものだ。
変わらないなにか。


だいたにして、ケーキ屋さんでは苺のショートケーキかタルトを買う。
看板メニューであっても、目新しいものはまず頼めない。
洋食屋さんではハンバーグ、そしてポタージュスープ。
新しいお店を開拓するよりも、いつもの店に行くほうが好き。
そんな気質なのだ。仕方ない。


高円寺にある、HERE WE ARE marble。


ここはそんな私にとっては、あまり好きではない要素が揃っているカフェ。
デザイナーズカフェがまだ出始めた頃にできた、したがってとてもおしゃれな空間。
そして今でも次々と新しいことへの挑戦を続ける、常に進化しているカフェ。
喫茶店という言葉がまったく似合わない場所。


でもこのHERE WE ARE marble。
実は結構、気に入っている。

そう、ここは。新しいものを上手に見せるお店。


それができるのは。多分、この空間にみなぎる自信のせい。かも知れない。
いまの時代の風をきちんと取り込み、その半歩先を提案し、
一方で残すべきものはきちんと残し、継承する。徹底する。
空間の演出に、メニューに、かける音楽に、働く人の選定に。
それをきちんと体現できる力。


カフェという流れる空間で、それをきちんとやり遂げているところはそんなに多くない。
だからとても残念なことではあるけれど、雑誌かなにかで見かけても、数年後には違う店になっていたりする。
それがカフェの特質であるかのように語られるのは、やっぱり淋しいことだと思う。


たぶんこれから先も、このカフェは上手に進化を遂げていくのだろう。
新しいもののよさを、きちんとうたいながら。


#HERE WE ARE marble[高円寺]