銀座7丁目の路地裏に、嵯峨野というお店がある。
5人くらいで満席のカウンターと10人でいっぱいになってしまう座敷だけの小さなお店。
初めて訪ねたのは、会社の同期に連れられて。半年くらい前のこと。
1度ですっかり気に入ってしまい、以来月に1度はお邪魔している。
嵯峨野という名前のとおり、
ここは京都のおばんさいを楽しむお店。
季節の野菜を煮物にしたり、おひたしにしたり。
揚物や焼き物も品が良すぎずなさ過ぎず、どれもこれもとてもおいしい。
最後に出してくださるにゅうめんが全部食べきれないくらいにおなかがいっぱい。
黙って座っていてもいろいろと見繕って出してくれるお店ではあるけれど、
これだけは、といつもお願いして出してもらっているものがある。
それはポテトサラダ。
ここのポテトサラダがとてもいい。
ほっこりしたじゃがいもと和えるものとの相性や分量。
それが全部ちょうどいい。
ずっと食べていたいと思わせる味。
嵯峨野の空気はとても温かい。
まさに阿吽の呼吸のご主人とおかみさん、
そしてきっちりした印象の板さんが作り出すやさしい雰囲気。
お店が小さいことも、いらっしゃるお客さんの多くが常連さんであることも、とても良い方向に働いている。
お店の人とお客さん、みんなが少しずつ手を広げて、お互いの足りないものや余ったものを補い合っているような。
家庭的といったらいいだろうか。お互いを思いやる家族の店。まさにおばんさいの店。
完璧さを求めるなら嵯峨野には行かないほうがいいだろう。
でもあったかい気持ちになりたくなったら。そんな料理が食べたくなったら。
銀座の路地裏を訪ねるのも悪くない。
#嵯峨野[銀座7丁目]
銀座には同名のお店がいくつかありますが、系列ではないと思います。多分、ここは1店だけ。