長野県のそとごはんは大概いまいちである。
なんでそんなことを言い切れるかというと、
私自身が18歳まで長野で生まれ育ったから。

長野でレストラン文化が発達しない理由はいくつかあるけれど、
それはまた別の話として。
おいしい食材はいくつかある。もちろん。

たとえばりんご。
東京で買うりんご、あるいは加工をせずに店で出されるりんごは、
まず食べる気になれない。
どれもこれも鮮度が低くしなび始めているか、あるいは若すぎる。
こんなものがりんごだと思われるのは非常に悔しい。
それに巨峰。
巨峰はもっと酸味と甘味が際立った果物だ。
東京で売られているものはあいまいな味がする。

こういう、地元民だからこそわかる、判断できる、
地素材の本当のおいしさ。地素材へのこだわり。

ミラヴィルは、それをとても大切にしているレストラン。
いっとき、どの料理店でも、有機栽培の~とか、○○産の~という
産地へのこだわりを標榜していたけれど。
ここミラヴィルは、表象としての地元や産地ではなく、
文字どおり、本当の地元。出身地。

ここではシェフの出身地である広島の食材を使ったプレート、
それも瀬戸内の魚の料理を味わいたい。
地元の漁港で上がった魚を、
地元民ならではの素材の活かし方で料理してくれる。

季節によっていい魚は異なるのでここでは限定しないでおくけれど、
ここのシェフなら、どの魚の良さも十分に引き出してくれるに違いない。
そう思わせる力がミラヴィルにはある。
付け合せの野菜との色調も豊か。

活きがいい料理ということ、
そして地素材を使う良さや強みを
素直に評価できるお店。

メーテルドテルをはじめスタッフの方々も
極めて感じが良いということも付け加えておきたい。

#ミラヴィル[駒場]