藤沢に住んでいたことがある。
今となっては誰も信じてくれないけれど、
当時はサーファーだったので、歩いて海に行ける鵠沼海岸に住み、
朝6時から1時間ほど波に乗り、
それから1時間半かけて都内の会社に通っていた。
もはやすべてがあり得ない。まあ20代だったし。若気の至りってヤツですね。

藤沢時代によく行っていたお店の一つが、
駅そばの雑居ビルにあるバレーナというトラットリア。

ここの塩がおいしい。
お店の雰囲気も、料理全体も悪くないのだが、
特筆すべきは、やはり塩。
とにかく持って帰りたい!と思わせる塩を使っている。
(実際この店では塩を売っています、今は知らないけど)
最後に食べてから2年以上経っても忘れられない塩の味。

塩は料理を左右する。
そのひとつまみが、
素材のおいしさを引き出しもすれば殺しもする。
塩そのものの味ももちろん重要。

塩といえば、やはりこの店。
ル・レストラン・ドゥ・レトワール。言わずと知れたフレンチの名店。
料理が出るのが遅いとか味にムラがあるとか言う人もいるけれど
そこはやはり名店の貫禄。
そんなことはどうでもいいのだと思わせる力がある。
一歩店に入り、正統な様式をきちんと表現したインテリアに囲まれると
背筋も自然と伸びようというもの。

このレストランは、付け合せの野菜が本当においしい。
鮮度の高い野菜を、あまり手を加えずにシンプルに、
絶妙な塩加減で食べさせる。
辛い。とても辛い。でもおいしい。
そして野菜が放つ美しい色合いに、知らず知らずため息が漏れる。

ル・レストラン・ドゥ・レトワールについて
野菜だけを取り立ててコメントするのはとても失礼な話なのだが、
でも敢えて言わせていただくと、
こんなにも野菜をきれいでおいしいものだと思わせる店は他にない。


#バレーナ[藤沢市]

#ル・レストラン・ドゥ・レトワール[恵比寿]