そのフレンチレストランは、外苑前からも神宮前からも原宿からも
それぞれ10分くらい歩く住宅街にある。
昨年の秋くらいからだろうか。
複数の食べ好き達から「いいお店」と名前を聞くようになった、ラルテミス・ペティアント。
余談だが。
ここ数年、新たにお店を開拓しても、
すべてに満足がいくことは全くなくなってしまっていて。
だから絶対はずさないと分かっている旧知のお店に行くことが
多くなっていたけれど。
このお店は、久々のヒットだった。
最初に足を運んでみたのは、今年のお正月。
新年会と称した友人達とのディナー。
その後、1ヵ月で5回もお邪魔することになろうとは。
まず素晴らしいのは、
リエットに始まるアミューズからおまけのデザートに出されたういきょうのクレームブリュレに至るまで
一つもはずさないシェフ中田さんやパティシエの腕。
前菜やメインのプレートは、ダイナミックなんだけれど、
一皿一皿に温かい工夫が施してある。
そしてつかず離れず簡潔な
適度にホスピタリティがあるスタッフ。
しかし適度なホスピタリティをゲストに感じさせるということは
すなわちものすごく高いサービスを提供しているということ。
さらに安い。
アミューズが2プレート(珍しい!)、
前菜、メイン、食休めの冷たいフルーツのスープ、
デザート、おまけのデザート、さらにプチフルールで4000円。
大丈夫か、この店は?という感じでしょ。
おすすめしたいプレートは、
恐らくスペシャリテと思われる
前菜のサーモンの燻製の温泉卵添え。同じく前菜のフォアグラのパイ包み、蟹のカプチーノも良い。
メインでは鴨のコンフィだろうか。ジビエも深い味わい。
お店の佇まいも悪くない。
重厚な木のドアを開けて広がる白いコテ塗りの内装も、
街並みと溶け合う外装も。
程よく品よく程よく力が抜けている。
そう。このレストランの良さは、すべてにおける程よさ加減と言ってもいい。
もっとおいしいお店、もっとサービスのいいお店、もっと安いお店はいくつかあるけれど。
すべてにおけるバランスがいいのだ。とても。
出会えて良かったなと思えるレストランはそんなに多くないから、
このお店は大事にしたい。
#ラルテミス・ペティアント[神宮前]