ここ数週間の労働時間と睡眠時間のことはあまり考えないようにしている。
その長さと短さに愕然とするだけだろうし、
考えたからといって少なくとも今月いっぱいはどうにもならないのだ。
仕方ない。こんな時もある。


数年前、毎日ほとんどまったく眠れないという時期があった。
ベッドに入ってもまどろむこともできない。すうっと目が冴えてしまう。
だからといって、日中に眠くなることもない。
そんな状態がひとつきくらい続いただろうか。
物理的に眠る時間もあったし、明確な悩みごとがあったわけでもない。いま振り返っても。


ただある日突然、眠れない夜がやってきた。
それだけのことだ。


最初は眠れないことに焦りもしたけれど。
でも眠れないのは眠りが必要ないってことなんだろうと勝手に解釈することにして。
そしてせっかくだからと、眠れない夜を遊び倒して過ごした。
なにしろ眠っているひとの倍くらいの時間が私の手にはあるのだ。
本を読む。クラブに行く。映画を見る。暇な学生の友達と遊ぶ。夜の公園を散歩する。

そんなふうにしてたくさんの夜を越えた。
眠れないいくつもの夜。


そうしてそのうち、また突然眠れる夜がやってくる。
眠れない夜がやってきたときと同じように。突然に。


あの時の私のこころには、なにかが巣食っていたのだろうか。
それともなにもなさすぎて眠れなかったのか。


わからない。


わからないけれど。
でもきっとあの頃の私には眠ることは過分だったのだと思う。


眠れないという後輩の話を聞いて。
眠れなかったころのことをふと思い出した。


眠れないのはもちろんいいことではないから。

だからとても心配している。

けれどいつかまた眠れる日がくると思う。
必要なものは必要なときにやってくる。きっと。


さて明日も朝から会議。

それまでの短い睡眠を貪るとしようか。

素敵な夢が見れますように。