前回のつづきです
→ 緊急手術。
退院から1週間後の診察の日。
向かい合って座った私に先生は
病理検査の結果 悪性だったと告げた。
この数日前 私は
卵巣嚢胞を見つけてくれた
韓国の先生に手紙を書いていた。
まだ病理の結果はわからないが
お蔭さまで無事手術が終わりました と。
手紙には
「良性か悪性か病理の結果がまだわからない」と書きながらも
手術はうまく言った!術後も良好! と言われていただけに
私は ”悪性”と言う単語に耳を疑った。
病院の名前が入った紙に先生は
卵巣癌/境界悪性卵巣腫瘍 と書き
卵巣と子宮の絵を描きながら話をつづける。
取った左の卵巣は8センチちょっとで、初めて見せていただいた4月から大きさは変わっていませんでした。
それで?
だからどーなの?
フムフムと聞きながらも
心情はそんなだった。
先生の話はつづく。
右の卵巣も左の半分くらいで、大きさは変わっていませんでした。ただ...左の卵巣に粒々のものがくっついていて、右の卵巣の後ろ側には、左のものより大きい、同じ様なものがありました。それから破裂の場合、腹水はほぼ血液だが、血液だけではなく全部癌細胞でした。
”全部癌細胞” すごい言葉。
私の中で 癌の見た目のイメージが”木苺”だったので
その粒々は「癌だ!」と思いました。
組織も細胞も癌なの?悪性なの?もしもし?
そんな風に 先生は淡々と話し 私にその紙を渡した。
そして 紹介するから大学病院に行ってくれと。
先生の話では 私の場合
卵巣癌ではなく 境界悪性卵巣腫瘍 で
”境界”とは悪性と良性の中間だけど悪性よりの悪性腫瘍です。
との説明だった。 よーわからん。
難しい話なのはよく分かったが 先生の話し方的に
卵巣癌より境界悪性卵巣腫瘍の方が程度が軽いと言う印象だった。
でも
卵巣癌だろうが境界悪性卵巣腫瘍のだろうが
治療法は同じとのことで
イマイチ その病名の差がよくわからなかったが
とても信頼していた先生からの思わぬ発言は
やっぱりショックだったらしく
質問もなく そのまま診察室を後にした。
階段を下り 会計を済ませ 車に向かう頃
境界悪性卵巣腫瘍って何?単に腫瘍つったって悪性だったら癌じゃん。だから、癌かもって言ったじゃん!
急にそんな感情が溢れてきたが
だからと言って 当時
先生に対する不信感は特になかった。
ただ 帰りの車の中
私、癌だって。
ガーーーン。
と言って ひとりで笑った。
つづく