VINTAGE LEAGUE 013初日。
初上陸の高崎で彼等はいつも通り客を笑顔にするライブをやってくれた。
以下、ネタバレ満載なライブレポ故、ネタバレ上等なお方以外は読まないでください。
……と、思いきやさいたま、下北とセットリストが違ったという罠(水戸は未確認)
各ライブでセットリスト変えてくるあたり気合い入ってますね、兄さん方。
出演3バンド中出番は最後。
つばきに「このあとジャクソン兄さんだからー。」
とMC中に言われた「兄さん」は、いつも通りのSEで笑顔で登場。
つばきが彼等を「兄さん」と呼んだことにはそんなに意味はないかも知れないけど
なるほど、確かに「兄さん」だ、と思わせる瞬間が幾度もあったライブだった。
いきなり新曲の「LIVE SHOW」。
スピード感ある曲、重厚なリズム隊、「LIVE SHOW」と連呼するサビ。
ライブの一曲目にテンションをあげるのにぴったりな曲だ。
大サビでは「LIVE SHOW」と客も歌った。
もうこの時点で客席全体に「Jackson vibeのライブを楽しむぞ」という空気が充満する。
他のバンドのファンだって、このライブはなんか楽しそうだぞって、
そんな風にちょっとずつ神経がステージに向かっていく。
続いても新曲「バスに飛びのれ」。
「朝焼けの旅路」を思わせる疾走感溢れるJackson節全開のこの曲は
とにかくサビのグローバーの高音の伸びが気持ちいい。
レコーディング疲れもまだ残っているだろうに、そんなことも殆ど感じさせず
きれいに高音が伸びる。のどから力が抜けていい具合に声が出てると思った。
そういうコントロールも凄く上手くなっているなあと以前のライブを思い出しながら思う。
この時のベーストラブルで死にそうな顔をしていた佐藤さんが非常に印象的だった(笑
ベーストラブル、微妙に引きずってて最後まで1弦だけ音がぼけていたような気がするが
私の耳程当てにならないものはなく、いつもどおり非常に気持ちいいベースラインが
彼の指からは奏でられていたことを記しておく。
たたみかけるように「案ずるな」。前列の客は拳突き上げて大盛り上がり。
その熱はちゃんと後ろまで伝わって、大サビは会場中で手拍子の音が響いた。
ここ最近、橋谷さんが結構激しく客席にアピールするようになった、というか
職人のような丁寧なプレイに魅せる動きが加わって、よりステージが面白くなったと思う。
MCでは酸素バーに行った話と、会場入りの時にART SCHOOLのチケットを買う為に
並んでた女の子達をスタッフと間違えて挨拶してしまったという話。
皆で爆笑したけれど、そこでグローバーさんが
「ここでこんなこと話す予定じゃなかった。」と無茶苦茶なことを言い出す。
アルバムの発売を発表し、「ライブでやったら意外と評判がよかった曲。」と「未来少年」へ。
この曲を聴くと情けない話だが色んなことを考えて泣けて仕方ないので
泣きながら聴いた為まともなレポなど書きようもないんだけど
橋谷さんのギターの音が、今までのJackson vibeの曲の中で一番好きだと思う。
ノスタルジアを喚起するイントロ。グローバーさんのボーカルラインに沿った少し控えめなライン。
速弾きとか、そういうテクニックを駆使したフレーズではないんだけど、
間奏のギターソロとかぞくぞくする。
王道ロックチューンなのに細かくて手数がフレーズがそこここにちりばめられたドラムが凄くカッコイイ。
相変わらずしっかり土台を支えてる厚いベースも結構細かくて、それをきっちり弾ききってる佐藤さん。
リズム隊の強さに乗るギターが、物凄く映えてかっこいい。これこそがJackson vibeなんだ。
印象的なイントロをループさせてから、「さよならヒーロー」へ。
出来てまだ2年というこの箱の音の良さがハッキリとわかる。
いつもよりもクリアに聴こえるドラム。手数が多くてもひとつひとつちゃんと聴こえる。
つばきもUNDER THE COUNTERも女の子ドラムですごく頑張ってて味があって良かったけど
単純なスキルだともう、経験の差も含めて須川御大最強説を私は押す。
その辺のバンドよりよっぽど難しいことを軽々とこなしている(ように見える)
特に新曲たちは手数が多いけれど、きちんと叩ききってる。
Jackson vibeのライブの安定感はリズム隊の凄さゆえだと思うのだ。
大サビ前のドラムソロ。うわ、気持ちいい。鳥肌が立った。
メンバー紹介を経て、ラストは「朝焼けの旅路」
「グルーヴをいただきたい!」とお馴染みのかけ声で手拍子、そして皆でカウント。
Jackson vibeで最も有名な曲が、初上陸の高崎に響く。
知ってる曲だとノリがやっぱり違う。つばきのTシャツ着てる人だって
UNDER THE COUNTERのファンだって、どこかで聴いたことのあるこの曲が
目の前で凄いパワーで演奏されていたら嫌でもあがってしまうってもの。
凄まじい握力を見せつけて、ライブは終了。
鳴り止まない拍手にわりとあっさり出てきてくれて、1曲アンコール。
「カバーって言わなきゃ一人くらいは俺等の曲だって思って帰ってくれるかも。」
なんてとんでもないこと言いながら奏で始めたのは「デイドリーム・ビリーバー」
カバーをやってみたら楽しくて楽しくて殆ど完コピになっちゃったよ、なんて
皆で苦笑しながら言っていたのは去年9月。この曲の初披露の時で、
ジャンボツアーだけじゃなくCDJFでまでやって、こんなイベントでもやって。
持ち時間が少ない、自分達のファンだけじゃない、そんなライブでもカバーをやってのけてしまうのは
彼等の音楽に対する純粋な愛情だったりするんだろうけど、
自分の曲として扱えている技量だったりこのバンドの強さだったりがあるからこそで。
「Walk down a bridge」に頼らなくてもいいんだという小さな意地も感じられたりして
そう言うところを私はとても好きだと思った。
好きなものを好きと言い、客の求める予定調和だけを良しとせず。
ちょっとわがままで強情で、だけど音楽が好きで客という存在を決して忘れることなく
とてもあたたかいライブをやってくれる。
メンバーは客の顔をよく見る。客席をよく見渡す。
彼等の音楽は確実に「誰か」に向かって放たれているのだと、
ただの自己満足で、彼等の世界だけでは決して簡潔し得ないものであるのだと良く分かるライブだった。