今回の芦原妃名子さんの件で、一番疑問に感じていたのが、出版社の小学館と日テレの間の意思疎通だった。
小学館が言う「意向は伝えた」とはどの程度の中身だったのか。
「原作者は原作に忠実にと希望しています」ぐらいの事?
で、日テレは「はいはい、善処しまーす」ぐらい?
本当のところはわからない。
出版社は別に社会正義のために営業はしていない。営利第一主義なのは一般の会社以上。
漫画が実写化されたら、新規の読者が増えるのは目に見えているのだから、実写化を拒否する原作者に優しいはずがない。
「大丈夫、大丈夫、希望通りに加筆修正出来ますよ」といい加減な安請け合いがあったのではないだろうか?
今回いろいろな漫画家さんが、出版社やTV局とのトラブルの過去を発言していて、出版社が本人の許諾なしに実写化の契約を交わしているケースがあるのにはびっくりした。
原作者の権利侵害で、よくもこんな事を‥と呆れた。
漫画家が出版社と契約書を交わさなければ、実写化には応じない仕組みを整備すべきだと思う。
ところで。
今回の騒動では原作ファンの怒りばかりがクローズアップされていたが、それなら、原作より先に映像を見てそれに感動した人はどうなるんだろう。
佐藤秀峰さんは実写化に乗り気ではないまま許諾したものの、やはり気に入らず、映画「海猿 ウミザル」(2004、羽住英一郎監督・福田靖脚本)はDVDで見たそうだが、その感想を今月「クソ映画、自分の原作とはまるで違うもの」と発信した。
残念だ。
私は映画の続編も見ていないし、TV版も興味はないが、1作目の「海猿」は映画館で見てとても好きだった。
若者達の成長物語になっていたし、佐藤直紀さんの音楽も素晴らしかった。
佐藤秀峰さんが言いたかった事が反映されていないとしたら、腹立たしいのも推察できるけれど、あれはあれで良い映画だったと思う。
そして、2003年にTBSでドラマ化された「ブラックジャックによろしく」(妻夫木聡主演)には感動して、佐藤さんの漫画を買ったぐらいだ。
2002年の映画「ピンポン」(曽利文彦監督・宮藤官九郎脚本)も楽しく、翌日には松本大洋さんの漫画を買った。
そして、映画と原作では主人公の星野(通称ペコ)と親友の月本(通称スマイル)の体格が全く逆なので「あれ・・」
原作ではペコがガッチリ体形で、スマイルは細身なのである。
物語の性質としてはここは守ってほしいポイントだったが、映画ではペコが細い窪塚洋介さん、スマイルが大柄のARATA(井浦新)さん。
しかも、高校生役なのに、皆大人の俳優さん。
中村獅童さんは30歳、ARATAさんと大倉孝二さんは27歳、一番若い窪塚洋介さんでも22歳。
誰も高校生には見えなかった。
それでも。
面白かった。感動もした。
実際に17,8歳の俳優を使って製作したら、それはそれで良い青春映画になったろうとも思うが、大人の俳優に演じさせた事でスポ根青春映画の枠を超えた、普遍的な感動のようなものを感じた。
卓球がどんなに好きでも自分には才能がないのだと思い知る佐久間(大倉)の描写が、この映画を良作にした一因だと思った。
そうそう、アニメ「ヒカルの碁」もTVで大好きになり、原作漫画を買っていました。(原作 ほったゆみ、絵 小畑健)
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。