夜勤勤務がある医療機関にはたいてい職員寮があって、水道光熱費の徴収はされるが、部屋代などはとても安く住まいを確保できる。

 

学生時代も寮生活だったので、寮生活にさよならして、はじめてアパート暮らしを始めたときには、やっと自立できた喜びがあった。

 

6畳と3畳にトイレと台所、風呂なし。24時まで営業の銭湯が近所に数件あり、

月100円ほどで、入浴道具用のボックスをかりることもできた。

 

夜間の大学に通っていたので、24時まで営業している銭湯のおかげで暮らしが成り立った。授業が終わって自宅近くの最寄駅から、銭湯に直行。湯上りに瓶の牛乳でほっとして足早にアパートに戻り、そのまま倒れ込むように眠りにつく。

 

この時代に、繰り返し見た夢が、部屋の隣に隠し部屋があり、そこも使えると大家さんに教えてもらっているというもの。

 

大家さん「○○さん、あの部屋は使っているの? あなたには使える部屋がまだあるのよ!」と案内される。なんと階段を上がった壁の奥に広い部屋。ソファやテレビが置いてあり、広い窓もある。

 

「この部屋を使わないともったいないわよ、忘れないで使ってね」と大家さん。

 

「こんな部屋があったの、全然使わなかった。ヤダ私っておっちょこちょいね」と広い部屋があることに喜んでいると目が覚める。

 

仕事関係の本と、教科の本が所狭しと置いてある部屋。本棚を増やしても収まりきらない本、本、本。

 

ドンドン狭くなる部屋に、閉口していた。

 

 

大家さんから隠し部屋の存在を教えてもらって、「えーっ 広い部屋があるじゃん」とホッとしていたのもつかの間、それは夢だったというお話でした。