五感をフルに活用して自然観察をする ネイチャーフィーリング観察会

(毎月一回 新宿御苑母と子の森で開催されている)

 

随分前にEテレで、盲学校の生物の教師が、生徒を戸外に連れて行って植物観察をしている様子を見たことがあり、その時初めてネイチャーフィーリング観察会を知った。

 

バードウォッチングや植物観察会でも、リーダーが植物の解説をしながら観察方法を指導してくれるというのが一般的な方法。

 

白杖を手にした方が、移動や植物観察時には介助の方に位置などを伝えてもらい、観察時にはご自分の触覚、臭覚、聴覚をふんだんに使って、今どんなことを五感でとらえているか話される。

 

まずハクモクレン。

(新宿御苑の樹木は枝が払われていないので、高木の枝や葉っぱに直接触れることができる。)

 

葉っぱに触れて、「厚い」「毛がもこもこしている」「葉の先端がとんがっている」「枝先の葉っぱはやわらかい」「花が落ちて実が育ち始めているようだ」などと、触覚情報を丁寧に伝えてくれる。

 

花が終わった跡を触って、硬い感じの横縞があるとか、さらに細かな観察。

ここ数日に落ちた葉っぱを見つけた人が、葉っぱ裂いて匂いがあることを教えてくれる。

 

 

ヒラヤマスギでも、地面近くの枝や枝先を触り、同様に観察する。

指先で触れると軟らかく感じる葉と突き刺さるように痛い葉先。

今までヒラヤマスギを仰ぎ見ることはあっても、直接枝や葉に触るのは初めて。

地面に落ちている実を見つけた人が、「バラの花のような実」を教えてくれる。

 

プラタナス、ハンカチノキ、イチョウ。

 

樹齢100年を超えたプラタナスの木は太く、根元近くは横に凸があり、段々腹のよう

、ちょっと自分の腹をへこましたくなる。

 

根元近くの幹が重みにより押しつぶされるという解説あり。

 

イチョウは樹肌がコルク状で触ると温かい。一方プラタナスは細かな樹肌の剥がれがあるが、触ると冷たい。地面に乾いたプラタナスの枝が落ちていたので、折ってみると皮は均一で剥がれやすい。

 

樹齢何年くらいから、細かく樹肌が剥がれるのか?自宅近くの街路樹のプラタナスは、結構大きく剥がれていたことを思い出した。

 

ハンカチノキ、イチョウ、プラタナスの実生は、どれもとてもかわいい。

 

最後の木は、ハチジョウキブシ。

雄株の木で、花が終わった跡を触り、雌株で実を触る。

女の子と男の子と表現されたので、何の木か検討がつかず。緑色のまん丸の実。

木の名前を教えていただいて、「なぁんだ、キブシなんだね」と私。

春一番に、葉がない木に薄黄色の垂れ下がっているキブシの花。雌雄異株とは初めて知った。葉は桜の葉っぱに似ているが、大分大きい。

 

あっという間に2時間が過ぎる。

ネイチャーフィーリング観察会は、30年ほど前に盲学校の生徒たちが豊かな観察力を持っていることを知った生物の教師が、始めたものだという。

 

自然を自分の感覚(五感)でとらえることは、とても楽しく興味深かった。

普段はどちらかというと、視覚中心に生きていることが多いので、視覚だけでなく他の感覚で物事を捉えることはとても深く、記憶に残る。

 

本当に分かった時「腑に落ちる」というように、自分の体性感覚でとらえられたものはごまかしようがない。

 

日曜日からもう4日が過ぎたが、今年生まれたばかりのヒマラヤスギの葉先の軟らかさがまだ感覚としての記憶が鮮やかだ。

 

次回のネイチャーフィーリング観察会は、5/26(日)10時から12時。

 新宿御苑 新宿門を入ってすぐ右側のベンチ近くに集合。

 参加希望の方は、メールまたは電話でお申し込みを。

 e-mail nfsusumeru1993@docomo.ne.jp

  ☎ 090-2446-1848

日本自然保護協会 自然観察指導員が観察のお手伝いをしてくださいます。

(緑色の腕章をつけていることもあり)