数日前の東京新聞家庭欄、「叱る行為 効果に疑問」という記事。

 

叱るという行為でも脳内ホルモンのドーパミンが放出され、快感を味わう可能性が高いという。

 

この記事は、「〈叱る依存)が止まらない」などの著書がある臨床心理士の村中直人氏への取材をまとめたもの。

 

叱られた側は、恐怖や苦痛などのネガティブな感情が起こることで、情動をつかさどる偏桃体などを中心としたネットワークにより、身体に「危険」アラームが作動する一方、知的活動をする前頭前野の活動が抑制され、知的能力が下がり思慮不快活動ができなくなる。

 

一方、叱る側は、叱ることそのものに快楽があり、叱らずにはいられなくなり、叱ることを自分の力でやめられなくなる。権力を行使して叱ることによって報酬・快楽が得られ、それにより何とか自分を保っている状態に陥る。

 

しかも、「好き」と「欲しい」の脳内回路は別で、「欲しい」の回路が暴走しても「好き」の回路はついてこないために、叱った後に気分の悪さが付きまとう。

 

叱っても相手は、行動変容をもたらす知的活動が低下するので行動を修正できず、

叱る側は一時的に快感を感じても後味は悪い。叱るという行為は、双方にとってさほど効果を及ぼさないということになる。

 

 

 上記の本は、発売以来多方面で注目され、著者のインタビューや書評が結構出ている。アマゾンの評価も高い。

 

パワハラなどにより退職したり精神疾患にかかったり、自殺をする人が後を絶たない。

 

パワハラをする人やSNSなどによるバッシングする人も、、処罰感情に基づく「叱る依存」に陥っていると言える。

 

見知らぬ人からのブーイングを受けたとき、悲嘆感情に暮れ一時的に知的レベルが低下することで的確な判断することができなくなる危険性がある。そして攻撃を仕掛けている人は、不安や恐怖の感情により、攻撃するという行為そのもので自分を保とうとしているかもしれないと分かれば、少しは冷静さを取り戻せるかもしれない。

 

最近(以前からあっても公表されない可能性が高い?)、国会議員や自治体の長など

パワハラや不規則発言などが目立つ。親や教師、上司だけでなく、あらゆる立場の人が、〈叱る)依存のメカニズムを知れば、パワハラで苦しむ組織や社会を変えられるかもしれない。