辺見じゅんの小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』が実写映画化。映画『ラーゲリより愛を込めて』として、二宮和也主演、瀬々敬久監督で、2022年12月9日(金)に公開される。

不屈の日本人捕虜を描いた“実話”を映画化

『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫刊)
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫刊)

小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』の原作者は、『男たちの大和』で新田次郎文学賞を受賞した女性作家・辺見じゅん。関係者への丹念な聞き取りを元に構成されるノンフィクション作品で高い評価を受けている。そんな辺見の作品の中でも、発行部数20万部を超えるベストセラー『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』が、映画『ラーゲリより愛を込めて』として実写映画化。

生きる希望を持ち続けた山本幡男

第二次世界大戦終了後、60万人を超える日本人がシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留された。不当に抑留され捕虜となった日本人の強制収容所(ラーゲリ)において、生きることへの希望を捨てなかった男・山本幡男(やまもとはたお)を描いた作品。当時の過酷な収容所生活を鮮烈に、虐げられ続けた日本人捕虜の心情の機微を繊細かつ詳らかに表現し、読者の心を揺さぶる珠玉のノンフィクション作品となっている。

主演・二宮和也×北川景子が夫婦役

■主人公・山本幡男...二宮和也

山本幡男(やまもと はたお)は、あまりにも残酷な日々に誰もが絶望する状況下においても、ただ一人、生きることへの希望を捨てなかった人物。ラーゲリでの劣悪な環境により栄養失調で死に逝く者や自ら命を絶つ者、さらには日本人同士の諍いも絶えない中、山本は生きることへの希望を強く唱え続け、仲間たちを励まし続けた。自身もラーゲリに身を置き、わずかな食糧で過酷な労働を強いられていたが、仲間想いの行動とその力強い信念で多くの抑留者たちの心に希望の火を灯した。

『ラーゲリより愛を込めて』場面カット|写真1

主人公・山本幡男を演じる二宮和也は、『母と暮せば』で第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、『検察側の罪人』で若き検事を演じ、第43回報知映画賞助演男優賞、第42回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。さらに太平洋戦争を題材に描かれたクリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』で、家族のために生きて帰ることを固く誓い戦い続けた若き陸軍兵を確かな存在感で演じ、鮮烈な印象を残した。

二宮は、山本幡男を演じるにあたり並々ならぬ覚悟を持って臨んでおり、小道具や衣装合わせの際にはより本人に近づけるべく、試行錯誤を繰り返すこだわりを見せたという。映画の公開決定に寄せたコメントでは、日本に帰り家族に会いたいと誰よりも強く願い、希望を持ち続けた山本の心情になぞらえて、「ただただ帰ることを想って、行ってきます」と語った。

山本幡男 本人
山本幡男 本人

■山本モジミ...北川景子

山本幡男の妻。第二次世界大戦中に家族と共にハルビンで過ごしていた中、突然の空襲により幡男とは「日本で落ち合おう」と約束を交わし、離れ離れに。幡男はそのままシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留されたため生存状況がわからない中、幼い4人のこどもたちと共に激動の時代を懸命に生き抜いた実在の女性。11年もの間、夫の帰りを待ち続ける。演じるのは、『ファーストラヴ』『キネマの神様』『大河への道』の北川景子。

■松田…松坂桃李
山本と同様に抑留された仲間の1人。何事からも目を背けてきたが、山本に鼓舞され、生きることに対して強い覚悟を持つようになる。
■新谷…中島健人
抑留者の1人。誰よりも山本を慕っていた。
■相沢…桐谷健太
抑留者の1人。最も山本に厳しい態度を示していた。
■原…安田顕
抑留者の1人。山本が病気になった姿を目にし、拷問を受ける可能性も省みず、山本が適切な治療を受けられるようロシア兵に掛け合う。

『糸』の瀬々敬久監督×平野隆×林民夫が再タッグ

監督は、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『64-ロクヨン- 前編/後編』『ヘヴンズ ストーリー』などで国内外の映画賞に輝いている瀬々敬久。二宮和也とタッグを組むのは、今回が初めてとなる。企画プロデュースは『黄泉がえり』『余命1ヶ月の花嫁』の平野隆、脚本は『永遠の0』の林民夫が務め、22.7億円のヒットを記録した『』を生み出した瀬々監督×平野隆×林民夫のタッグが再集結した。

主題歌はMrs. GREEN APPLE「Soranji」

映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌は、Mrs. GREEN APPLEの「Soranji」。"生きることへの希望”を美しく力強い言葉と繊細かつ壮大なメロディーで表現している。Mrs. GREEN APPLEのメンバー、大森元貴は「皆様自身が歩んできた人生に、必ずどこかしらでリンクできる、寄り添える作品を作れたのではないかと思っております」とコメントを寄せた。

映画『ラーゲリより愛を込めて』あらすじ

第二次大戦後の1945年。そこは零下40度の厳冬の世界・シベリア…。わずかな食料での過酷な労働が続く日々。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」絶望する捕虜たちに彼は訴え続けた――。

身に覚えのないスパイ容疑でラーゲリに収容された山本は、日本にいる妻・モジミや4人の子どもと一緒に過ごす日々が訪れることを信じ、耐えた。劣悪な環境下では、日本人同士の争いも絶えなかった。戦争で心の傷を負い傍観者を決め込む松田や、旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢らに敵視されながらも、山本は分け隔てなく皆を励まし続ける。更に、元漁師の純朴な青年・新谷には学問を教え、過酷な状況下で変わり果ててしまった同郷の先輩・原にも声をかけ続けた。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた捕虜たちの心を次第に溶かしていく。

終戦から8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。たった一人で子どもたちを育てている妻を想い、山本は涙を流さずにはいられなかった。

誰もがダモイの日が近づいていると感じていたが、その頃には彼の体は病魔に侵されていた…。体はみるみる衰えていくが、愛する妻との再会を決してあきらめない山本。そんな彼を慕うラーゲリの仲間たちは、厳しい監視下にありながらも、山本の想いを叶えようと思いもよらぬ行動に出る。そしてモジミに訪れる奇跡とは――。

【詳細】
映画『ラーゲリより愛を込めて』
公開日:2022年12月9日(金)
原作:「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(辺見じゅん著/文春文庫刊)
監督:瀬々敬久 
脚本:林民夫
企画プロデュース:平野隆
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕
制作プロダクション:ツインズジャパン 
配給:東宝

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