心の病を抱えている父に、常識的な考えや父親らしさを
求めても無理だということはわかっていたが、家族に
残されたことはあまりにも重すぎた。
自身で勝手にお金を使ってしまった現状や、取引先との
トラブル。
そして目を離せば、自分の妄想を誰かに話してしまう。
父とよく似た父方の親戚が助けてくれる望みは薄いが
私は事情を話し連絡を入れた。
ところが既に父から「喘息で入院している」と連絡を
入れてしまった後だった。
もともと厄介事に関わりたくない父の親戚は
「声が元気で良かった」などと勝手な感想を残し、
二度と父に電話をかけてこなかった。
父は兄弟が多い。
人数は多くても、父の姉を除いては冷たい人が多かった。
父は郷里が遠いこともあり、私自身ほとんど帰ったことが
なく、父も幼少期の話を断片的にしか話さない。
父が心の病を抱えているとしたら、幼少期の環境も何らか
影響があったのではないかと思う。
それくらい父の親戚は変わっていた。
「心」で判断するより、「損得」でつきあいを判断した。
今父と関わることは多分、「損」と判断されたのだろう。
父は自分の親戚に何か連絡をするとき、いいことしか
伝えなかった。
遠い親戚に心配をかけたくないのだろうと思っていたが、
父は悪い報告をしたら離れていく怖さをどこかで感じて
いたのかもしれない。