クッシング症候群の中でもっとも多い原因は、副腎皮質腺腫と呼ばれる、腎臓の上にある副腎という臓器の良性腫瘍です。

この副腎腺腫がコルチゾールを過剰に分泌し続けることによって血中のコルチゾール濃度が上昇し、クッシング症候群をきたします。 このときには副腎が自律的にコルチゾールを分泌しているため、ネガティブフィードバックによる分泌抑制が起こりません。

 中心性肥満とは筋肉が減って手足がやせる一方、体幹部に脂肪が多く付き肥満となる状態です。 同様に、顔にも多く脂肪が付くことによる満月様顔貌や、肩の後ろに脂肪がつくことで水牛のような盛り上がった肩を呈する水牛様肩などがあります。

 血液検査で血中のACTHやコルチゾールなどのホルモンの濃度を測定したり、1日の尿を貯めてコルチゾールを測定したりします。

さらに“デキサメタゾン抑制試験”と呼ばれる検査も重要です。

 クッシング症候群の治療は、基本的に腫瘍の摘出です。 コルチゾール産生副腎腺腫や

副腎がんの場合には副腎腫瘍摘出術が行われます。

クッシング病の下垂体腺腫に対しては“経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術”と呼ばれる術式で、鼻の穴から内視鏡や顕微鏡を使い、蝶形骨洞と呼ばれる副鼻腔

ふくびくうを経て腫瘍を摘出します。 いずれの場合にも、周術期そして術後にもステロイドの補充が必要になります。