国立がん研究センターは、がん細胞の遺伝子変異を調べる「がん遺伝子パネル検査」を受けた約5万人のうち、15%に効果が期待できる薬が見つかったとする研究成果を発表した。検査の有用性を調べる国内初の大規模解析で、がんの種類別では0~85%と差が出た。

治療薬の開発が進んでいないがんでは、低くなる傾向がみられた。

 この検査は100以上の遺伝子変異を調べられ、2019年に公的医療保険が適用された。手術や抗がん剤などの標準治療ができなかったり、効かなかったりした患者が対象で、個々の遺伝子変異に対応する治療薬を探し出す。

 同センターが同年6月から昨年8月までに検査を受けた4万8627人のデータを解析したところ、治療候補となる薬が見つかったのは15・3%(7419人)だった。

 がん種別にみると、甲状腺高分化がんが85・3%と最も高く、次に浸潤性乳管がんの60・1%、肺腺がんの50・3%が続いた。 一方、国内の患者は多くても欧米では患者が少ないため薬の開発が遅れがちな子宮 頸部扁平けいぶへんぺい 上皮がんでは0・7%にとどまった。 希少がんの脂肪肉腫は0・3%だった。 国立がん研究センター研究所の片岡分子腫瘍学分野長は「治療薬が見つかっても実際の治療につながった割合はさらに低く、治療薬の開発を進めていく必要がある」としている。