坂本龍馬の虚像
たしか、大学の頃だったか
お酒の席で坂本竜馬の話になった。小生は司馬遼太郎が好きで、すでに『竜馬が行く』を読んでいたので、竜馬についての主観を述べた。
なるほど司馬遼太郎が描く龍馬は至極魅力的に見える
しかし
坂本龍馬は結局、商人になりたかった人だから過大評価するのは違うと思うと
そう言ったと思う。
すると
とある人が、
それは違う
龍馬は本気で世の中を変えようと思っていた。
と言い出した。
小生はそれを否定するつもりはなかったが、いろは丸事件の経緯など調べると
どうも坂本龍馬の利己的な考え方を受け入れる事ができなかった。
むしろ
貿易商を生業としようとする龍馬が、
幕末動乱の時代を利用し、また薩長に恩を売る事により
自分の都合のいい制度を作ろうと
そう考えていたのではないかと思っている。
で
先日、先日といっても2年程前になるが
例の如くブックオフで海音寺潮五郎さんの「史談と史論」という上下二巻にわたる文庫本を購入した。
その中で
龍馬語録なるものが掲載されていて
そこに坂本龍馬が実際語ったとされている言葉が掲載されていた。
人に対面したときは、"こいつを打ち殺すにはどうすればいいだろうか"と考えながら見てみるといい。こいつを殺すのは簡単だと思えるような相手なら大した知恵は持っていない。少し難しいぞと思うような相手は知恵のある人物だ。そういった相手は早くだまして味方にした方がいい。
人を殺す方法を色々と工夫する必要がある。刀を使うときにはどうすればいいか、毒物を使うときにはどうすればいいかといった具合だ。浮浪者などを相手に2、3人試しておく必要がある。
涙というものは人情を示す色なり。愚人や婦女子には第一にききめあるものなり
その他
人を騙すにはどうたらこうたら、女を騙すにはどうたらこうたら、など
それこそ英雄というよりは奸雄、梟雄といった方が相応しく
彼が残した耳障りの良い言葉の半分以上は演出の範囲内であるのではないかと
確信してしまった。
龍馬の心根はむしろ
さわやかとは無縁のむしろドス黒い凄みを感じさせるものがある。
少年時代に大人から虐げられ、同年代からいじめられ、近所の人間達から白痴扱いされた経験やそれらの人間に対する恨みや憎しみが消化されることなく蓄積し、少なからず彼の思考に影響を与えているのかもしれない。
今期のドラマでJINが一番面白く、その中で坂本龍馬がでてきているが
かなり魅力的な感じで良いキャラクターに仕上がっています。
が、しかし
上記のyoutubeみたいに奇麗事しか言わないありきたりな龍馬像をぶち壊すような
腹黒い凄みを持ったダークサイド龍馬を描いている小説を読みたいものですね。
終わり。