・「貯蓄から投資へ」これまでの10年
株式投資の優遇税制は、2003年の小泉政権時代に始まりました。これは上場株式などの譲渡益や配当などの税率を、20%から10%に軽減するものです。この優遇策は「貯蓄から投資へ」の流れを勢い付けるための政策としてはじまり、その後期間延長を繰り返してきました。そして2013年末で終了ということに今のところなっています。
2003年のりそな銀行への公的資金注入を機に、日経平均は04年、05年、06年、07年と好調に推移し、優遇税制も味方して個人マネーは少しずつ貯蓄から投資へと流れ、投信残高も増加してきました。
しかし、その後サブプライム問題、リーマンショックと続き、さらに昨年からの欧州債務問題が深刻化していく状況で、投資へと行きかけた個人マネーは、また貯蓄へと引き返した状態です。
・新しい層の動き
優遇税制導入から10年近くが経ち、結果だけを見ますと、個人マネーの多くは「貯蓄から投資へ」とうまく流れていかなかったように思います。
しかし、おふくろファンドを設定して4年、現場で投資初心者の方々に行ってきたセミナー活動を通じて、着実に新たな層が投資をやってみようと考えはじめていると感じます。
今まで投資なんて関係ないと思っていた人たちが、長引く不況で、給料も上がらず、預貯金の金利も低く、老後の年金不安もあり、自助努力で何とかしたいと真剣に考え、ネットでの検索や、友人の紹介などで、おふくろファンドのセミナーに参加していただくようになってきました。
そして熱心に、いくつかのセミナーに参加され、自分に合うと思えば口座開設するというスタイルです。
投資の基本を学び、リスクを理解し、投資の目的をきちんと持って行動しようという人達です。
・投資信託の役割
財産作りの第一歩は、毎月の収入から、支出を抑え、毎月定額の積立てをしていくことだと考えています。
積み立てるお金を、数年後必要になるお金と財産作りのためのお金とに分けます。すぐ必要になるお金は預貯金で貯めます。
では、財産作りのためのお金はどこで貯めたらよいのでしょうか。
実はこんな質問をたくさんいただいています。私自身もその答えを長い間ずっと探していました。そしてたどり着いたのが、家計に身近なファンドを作ることでした。
1万円からコツコツと少額のお金を長期にわたり積み上げていける投資信託。下がって不安になったとき、気軽に相談できるところも欲しいです。
どこの家でも台所に備えている、塩や醤油のように、料理の主役ではないけれど、味付けになくてはならないもの!そんな当たり前のように投資信託を使っておいしい料理づくり(財産作り)をしてもらいたいと思っています。
・「貯蓄から投資へ」これからの10年
日本の個人金融資産1500兆円の60%超を占めているのは60代以上の人達です。この世代は、高金利時代に貯蓄に励み資産を増やしており、そのため安全志向が強く、その結果低金利が続く現在も、個人金融資産の50%以上が預貯金にある状況です。
しかし、少しここにも新しい波を感じます。おふくろファンドのセミナーに熱心に来られる方に、退職して時間のある方が多いことです。
今までのように預貯金では自分の資産を守れないと気付いた人たちが、何とかしようと学びに来られています。
国も本気で「貯蓄から投資へ」を後押しするのなら、
①長期保有の株式や投資信託の譲渡益に対して、時限立法ではなく、恒久的に軽減税率10%にすること、
②また若年層の資産形成を後押しするために少額投資非課税制度が2014年から始まるようですが、投資期間を3年間に限るのではなく、これも恒久的にすること、が必要だと思います。
これからの10年で、投資信託が財産作りのスパイスになっていることを願っています。