『無双の花』 | 本だけ読んで暮らせたら

『無双の花』


『無双の花』  葉室麟/著, 文春文庫(2014)


九州への親和を抱く時代小説作家ハムロの作品。


主人公は筑後柳川の大名,立花宗茂。

ゲーム「戦国無双」では使い勝手の良いキャラで,私のお気に入りだった。

薄っぺらい設定のゲーム・キャラと比べること自体が無意味なのだろうが,本作のハムロ創作キャラはかなり魅力的だ。

主人公:宗茂はもとより,宗茂の正妻:誾千代も,後妻も,後後妻も,女性キャラがなんともイイ。


ブレない信念,その信念に基づく言動。おのれに強いからこそ,他者に優しくいられる。そんな男を描く本邦の時代小説は,海の向こうのハードボイルド小説と同類だ。

ハムロはハードボイルド作家なのだ。


関ヶ原での戦の際に西軍に付いたにもかかわらず,そのぶれない心情を徳川から認められ,領地に戻ることのできた唯一の武将。時代小説,キャラ小説としてのオモシロさも然ることながら,そんなチョットした歴史的事実を知ることができたのも収穫。