『言わなければよかったのに日記』
ずっと気になっている本がある。いつかは読もうと思っている本がある。いつでも読めるさと思ってる本がある。大長編小説だったり、専門書の場合はそんなふうに思わない。薄い文庫だったり、軽めのエッセイだったりするから、そんなふうに思える。
年々そういう本が増えていく。読めないままの本が増えていく・・・。
これもいつでも読めると思いつつ、ズット積み残してきてた本。
だが先日、角田光代の書いた短いエッセイ に押されて、突発的に読んでみた。
『楢山節考』で文壇にデビューした著者が、その2年後に書いたエッセイ集。
自分の無知さ、無教養さを何のテライも無く率直に語る著者のあっけらかんとした言い分が気持ちイイ。
他人との付き合いの中で、知らず知らずのうちにどこかしらカッコつけちゃうことのある我が身を振り返ると、そんなこと自体がカッコ悪ッ!と思わされる。
軽薄な文章のようにも感じる。けど、そんな文章が幾つも重ねられると、その語り方こそが実直さなんだと思えてくる。著者深沢の何事もひけらかさない自然さが感じられるようになる。
この著者が付き合ってたという作家たち、正宗白鳥や武田泰淳の作品も読んでみたくなる。
以前読んだ深沢作品⇒ 『生きているのはひまつぶし』