『ミステリ文学』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ミステリ文学』

Le roman policier (2002)
『ミステリ文学』  アンドレ・ヴァノンシニ/著、 太田浩一/訳、 (文庫クセジュ965)/白水社(2012)


白水社の【文庫クセジュ】とかいうシリーズの1冊。


近・現代フランス文学研究者でスイスのバーゼル大学教授という肩書を持つ著者によるミステリ小説の歴史変遷の解説や作品・作家の紹介。


E・A・ポーやC・ドイルなどのミステリ創設期の作家、

A・クリスティやG・K・チェスタトンなどの黄金期の作家、

D・ハメットやR・チャンドラーなどのハードボイルド作家、

J・M・ケインやJ・トンプスンなどのノワール作家、

W・アイリッシュやP・ハイスミスなどのサスペンス作家・・・などなどの作家論、作品論がメイン。


これらの前段に「ミステリの骨格」という、ミステリを文学の1ジャンルとして捉えた場合の理論や構造に関する概要が述べられている。

ただ、この章に関しては、原著がアカデミックな調子・用語を使っているせいなのか?訳出された日本語が非常に判りづらい。


作家論・作品論としてもプロの研究者のレポートとしては平凡な内容。

日本のミステリ研究者や書評家による評論の方がはるかに内容が濃いと思う。