『深川の唄』『鐘の声』 | 本だけ読んで暮らせたら

『深川の唄』『鐘の声』

永井荷風作品のオーディオ・ブック。


『深川の唄』は、電車に乗ってぶらりと出かけた際に見かけた明治期東京に暮らす人々の様子が描かれた作品。東京市内に敷かれていた電気鉄道の車内で見掛けられた人々の服装や態度や会話。到着地深川の街の風景や人々の様子。それらが荷風の心象風景も含めて描かれている。

荷風は、若い女性に対しては好意的に、中年女性には厳しい視線をもって描いている。エロオヤジ目線である。


『鐘の声』は、荷風の自宅に聞こえてくる増上寺の鐘の音について綴ったエッセイ。



オーディオ・ブックなるものを初めて試してみた。

連休中の深夜、ネットサーフィンをしていて衝動的にiTunesで購入した。

オーディオ・ブックにも様々な種類があるが、最初に目に付いたのが荷風作品のラインナップで、以前読んだ『墨東奇譚』 が好印象だったこともあって迷わず本作を選んだ。 イヤ、300円と安かったからか・・・。


散歩中に、二回繰り返して聞いてみたが、内容が頭に入りにくいと感じた。

朗読する声優さんの声は実に聞き取りやすく語りも上手だ。けど、ある言葉を聞いた時に、その言葉はどのような文字で書かれているのか?が気になってしまう。

また、聞いた言葉が記憶に残らない。数秒前に聞いた文章を忘れている。ところどころ断片的には覚えていても、連続した物語として記憶が出来ない。

私の脳の癖として、文字を見た方が、活字を読んだほうが物事を理解し易くなっているような気がした。

同じ作品を文字で読んでみたくなった。


散歩帰りにブックオフに寄ってみたが、同一題名の作品は見当たらなかった。

代わりに『つゆのあとさき』という作品を105円で購入してきた。


つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)