『ベヒモス クラーケンと潜水艦』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ベヒモス クラーケンと潜水艦』

十日以上もほっぽっておいた当ブログ。

この間、長谷川時雨の『旧聞日本橋』と、ウエスターフェルドの『ベヒモス』を読み終えていたのだが、記事を書くのが面倒になってた。


旧聞日本橋 (岩波文庫)/岩波書店

・・・が、休日の本日、なんだかその気になったので、取り敢えず『ベヒモス』の方について書いておこう。。。

で、いきなり脱線するが、今読んでる『最も美しい数学 ゲーム理論』という本の中で、著者がトーマス・ホッブスの『リヴァイアサン』のことに少しだけ触れている(p222)。
もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)

↑コレとちょうど並行して読んでたのが『ベヒモス』と云うSF。

まったく異なる内容の2冊の本の間に出てきた「ホッブス」という偶然性・・・。



スコット・ウエスターフェルドは自著SF作品に、『リヴァイアサン』、『ベヒモス』という、ホッブスの政治哲学書と同じ題名を付けてる。

ホッブスの政治哲学書を意識して題名を決めたのか? だとしたら、ホッブスを読まないと、このSFの面白さの本当のところは判らないのか? などと恐れていたら、3作目の題名が『ゴリアテ』だってことなので、どうやら3作品とも単純に旧約聖書に出てくる巨大獣(巨人)の名前から採ったらしい、ということが判明・・・。

ホッブスとは関係なさそうだ・・・、な~んだ。ホッ!

・・・って話。

すみません(^_^;)



↓ここからがメイン。


Behimoth (2010)
『ベヒモス ―クラーケンと潜水艦―』  スコット・ウエスターフェルド/著、 小林美幸/訳、 新ハヤカワ・SF・シリーズ(2012)


第一次世界大戦時代の歴史改変であり、スチームパンクでもある物語の第2弾。

第1弾 『リヴァイアサン』 の記事はコチラ。


オスマン帝国を自らの陣営に加えたい<ダーウィニスト>イギリスと<クランカー>ドイツは、帝国の首都イスタンブールにて、その覇権を争っている。

急速に親ドイツ化しつつあるオスマン帝国に向かうイギリス海軍の巨大飛行獣<リヴァイアサン>。


主人公=暗殺されたオーストリア大公の息子アレックは、<リヴァイアサン>を脱出し、オスマン帝国スルタンに反抗する革命軍に参加することとなり、

もう一人の主人公=<リヴァイアサン>の士官候補生デリン・シャープは、密命を帯びてイスタンブールに侵入する・・・。

イスタンブールを舞台に物語は急展開する・・・。


物語の世界観と主人公たちの人となりを構築するための書き込みにページを費やさざるを得なかった第1弾に比べれば、この第2弾のプロットは格段に面白くなっている。スピード感も増し、冒険譚らしい内容になっている。

第3弾も楽しみ。



またまた蛇足だが、本書のめずらしい「あとがき」について触れておこう。

「作者あとがき」と「訳者あとがき」がある。

「作者あとがき」は普通なんだが、その後の「訳者あとがき」が笑える。

原著には存在しない副題に対し、訳者はいらないと主張したにも拘らず、編集部に押し切られて付けたそうだ。

訳者の編集部に対する愚痴が載ってるんだ・・・(^_^)


小説の内容から云えば、訳者の言い分に軍配が上がる。。。