『カオスの紡ぐ夢の中で』
著者はカオスとか複雑系生命科学とかの研究者。そのエッセイ集+小説。
プラス小説、というのがウリかも。
で、その小説「進物史観」だが、一読しただけではどこが面白いのか良く判らない。なので二度読んでみた。二度読むと二度目にはジンワリと何となく奥深さが沁みてくる。
だが、やはり、何と云ってもエッセイがイイ。特に最初のエッセイは読者を鷲掴みにする。
科学や科学者の位置付け、定義付けが明確かつ納得できるコトが書かれてる。
一言でいうと、科学とは文化なんだ、と云うこと。
何かを発見したり、何かを発展・発達させたりするのは科学の一部の効能であって、それだけではない、ということ。
科学とは、モノの見方や考え方の新たな一面を提示するコトなんだ、という主張は大きく頷いてしまう。
芸術や文芸・文学などと同種の価値観を提案することなんだ。
だから、科学と小説とは親和性が高いんだ。
だから、著者は小説なんかも披露してみせるんだ。面白いかどうかは別として・・・。
だから、この著者の研究室からは芥川賞作家(円城塔)なんかも排出するんだ。
本書、お薦めです。
(昔から科学者のエッセイには面白いものが多いんだ・・・。)
金子邦彦著作のこれ↓も読みたくなった。