『ぼくは上陸している』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ぼくは上陸している』

I Have Landed ; The End of a Biginning in Natural History (2002)
  
『ぼくは上陸している 進化をめぐる旅の始まりの終わり(上)(下) 』   スティーヴン・ジェイ・グールド/著、 渡辺正隆/訳、 早川書房(2011)



進化生物学、古生物学を土台にした著者による科学エッセイ。

著者は、あの傑作『ワンダフル・ライフ』をものしたグールド。2002年に亡くなった。


印象に残ったコトを順不同で、記憶するままにメモる。

●グールドは、創造論者に対しては厳しいが、宗教そのものには寛容。

●フロイトの精神分析理論は、現在では殆んど破綻している。

●進化 -Evolution-

生物学の世界で云うところの「進化 : Evolution」 という言葉は、一般の世界で用いられている意味とは異なることを述べている。

一般用語または科学の世界でも天文学などでは、「一定方向の展開」という意味で使われるのに対し、生物学では、「変異」とほぼ同義。

生物学の「進化」には、あらかじめ定められた方向性などなく、予測できない結果に変化する。・・・複雑系。・・・創発。


●リンネの分類法
二名法。 進化とは分岐であるとする考え方にマッチした分類法。
だがリンネは、生物以外、例えば岩石の分類にもこの二名法を適用して失敗したらしい。

●個体発生は系統発生を繰り返す
動物は胚から成長する過程で、進化でたどった祖先の成長段階を順に繰り返すという説。
エルンスト・ヘッケルというドイツの大法螺学者によって広められた大嘘であり、生物学の世界では60年以上も前に放棄されたこの説も、世間では未だに信じられている。