『ワーグマン日本素描集』
絵のある岩波文庫。
庶民から武士や幕府高官まで、幕末の日本人を描いた絵・画がかなり載っている。人物の背景には当時の建築物や風景なども描かれている。
マンガ・ポンチ絵のようなものから、かなり細密なイラスト、水彩画・油彩画まで。
150年前の日本の衣装や風俗などがかなり細かい部分まで判る。
それぞれの絵が描かれた年が判っているので、幕末から明治初期の日本では人の装いや街の様子が相当の速度で変化して行ったことが良く判る。
この本に載っている絵・画を描いたワーグマンって人は、私が長らく読み掛けていて中途半端になっている 『遠い崖』 の中にも登場する。今現在、5巻の半ばで止まっているのだが、ちょうどその場面がイギリス公使一行が大阪城で将軍徳川慶喜との謁見を済ませた後で、ワーグマンは大阪から江戸への旅をアーネスト・サトウと共にしているところだ。
この本の絵・画には、宿場街中の人々が当時珍しい外国人を見に集まってくる場面とか、英国公使パークスが将軍に謁見する場面だとか、東禅寺(高輪に在った当時の英国公使館)に水戸藩士が武装乱入してきた場面だとか、横浜の外国人居留地の火災だとか、『遠い崖』に書かれていることがかなり載っている。
今後、『遠い崖』を読む際には、本書を傍らに置いておこう。
見事なスケッチ、イラストが満載の本書、幕末好きな人にはお薦めです。
次はビゴーのを読むかな!?