『濹東綺譚』
『「絵のある」岩波文庫への招待』
を読んだときから、いつかは読みたいと思っていた本作。
昨日、帰宅の車中で読む本がタマタマ無かったことから駅構内の書店で購入した。
関東大震災から復興しつつある東京のある年の夏。夜な夜な隅田川の東方(濹東)にある私娼街に通う小説家らしき初老の独身男と私娼の情話。
淡く艶めいていて味わいのあるイイ話。
私娼の雪という女の造形がイイ。
冒頭、当てもなく都内を徘徊する男(おそらくは作者荷風の分身)が街中・世間を観察するその傍観振りがイイ。
昭和初期の東京の街中や長屋に佇む男と女を描いた数十枚の挿絵も物凄くイイ。
さすが、永井荷風の最高傑作と言われるだけのことはある。
オッサンにお薦め。