『飛鳥の都』 | 本だけ読んで暮らせたら

『飛鳥の都』

『飛鳥の都 〈シリーズ 日本古代史 3〉』   吉川 真司/著、  岩波文庫(2011)


甘樫丘(あまかし の おか)に立って東の方角を望む。足元には飛鳥川が流れている。南の方に目を向けると石舞台古墳が見える。飛鳥川はその石舞台古墳のあたりから北に向けて流れ、飛鳥盆地を縦断し、足元の甘樫の丘を巻いて北西に向かう。向かう先にはかつての藤原宮がある・・・。

↑ このような書き出しで始まる本書。

この部分を読んだだけで、飛鳥に行ってみたくなる。甘樫の丘に登ってみたくなる。


■ 聖徳太子・蘇我一族・推古天皇の時代

■ 上宮王家・押坂王家・蘇我本宗家という三極構造だった権力が、大化の改新によって一元化された時代

■ 中国大陸・朝鮮半島情勢の変化に伴って起こった白村江の戦に破れ、戦時体制を図るために中央集権化

  を止む無くされた近江令の時代(天智天皇の時代)

■ 律令体制が確立されてゆく天武天皇・持統天皇の時代


といった、大宝律令が完成する直前までの「激動の七世紀」100年間に焦点を当てて描かれた本書。


文章も流暢で読みやすく、そのために理解もし易い。

通説を押さえながらも、大化の改新の意義、壬申の乱を挟みながらも天智朝と天武朝前半(天武10年以前)に制度的連続性が見られること、天武10年を画期とすること、に関しては著者独自の解釈が述べられており、ナルホド! と思える。



7月には関西に出張の予定がある。その際にチョイと飛鳥に立ち寄ってみるのもいいな。