『柳生大戦争』
柳生大戦争 (講談社文庫)/荒山 徹

荒山徹の伝奇時代小説。
中華(華=文明)の国に対して夷国(夷=野蛮、非文明)である朝鮮半島の国々は、自国よりも更に辺境にある島国(倭国)を貶めることによって自分たちのアイデンティティを保ってきた・・・。
歴史のほとんどを中華の国の属国として生き延びてきた朝鮮人の鬱屈とした心情・世情を、本邦の歴史物語に秘話として巧みに取り入れる作者:荒山徹の真骨頂を魅せる作品。
柳生と朝鮮。荒山の最強の武器である、この二つの題材をコンビネーションして繰り出されたら面白くないはずがない。
徳川家光が将軍となって、安定した時代の日本。だがその頃、大陸では後金(後の清)が勢力を拡大し、明を滅ぼさんとしていた。明の属国である朝鮮半島の李氏朝鮮もまた後金からのプレッシャーを受けていた。
本作は、明と後金、中国の支配権を巡って争うこの2強国の狭間で翻弄され、くだらない見栄と建前を振りかざしながら亡国の道を進む朝鮮を主な舞台として、柳生宗矩、十兵衛、友矩といった、柳生の父息子、兄弟の間の確執や愛憎、そして柳生同士の闘いを描いたおバカ小説だ。
だが、物語の舞台となっている当時の東アジアの情勢とか歴史、はたまた朝鮮半島に勃興した歴代の国々に共通してみられる思想などに関する著者の圧倒的知識が、そんじょそこらの唯のおバカ小説にしておかない。
ほとんどの日本人が気にもしてこなかった江戸時代の中国・朝鮮を柳生一族が暗躍する物語に絡ませる・・・、その技法と物語内容のぶっ飛び具合に、私はいつも小躍りしてしまう。
常人の持たない朝鮮半島に関する歴史の知識をフル活用して、まったくもっておバカな物語を書く、こんなイカシタ小説家、他にいるか!?
<その他の荒山徹の柳生モノ>
『柳生百合剣』 『柳生陰陽剣』 『柳生薔薇剣』 『十兵衛両断』

荒山徹の伝奇時代小説。
中華(華=文明)の国に対して夷国(夷=野蛮、非文明)である朝鮮半島の国々は、自国よりも更に辺境にある島国(倭国)を貶めることによって自分たちのアイデンティティを保ってきた・・・。
歴史のほとんどを中華の国の属国として生き延びてきた朝鮮人の鬱屈とした心情・世情を、本邦の歴史物語に秘話として巧みに取り入れる作者:荒山徹の真骨頂を魅せる作品。
柳生と朝鮮。荒山の最強の武器である、この二つの題材をコンビネーションして繰り出されたら面白くないはずがない。
徳川家光が将軍となって、安定した時代の日本。だがその頃、大陸では後金(後の清)が勢力を拡大し、明を滅ぼさんとしていた。明の属国である朝鮮半島の李氏朝鮮もまた後金からのプレッシャーを受けていた。
本作は、明と後金、中国の支配権を巡って争うこの2強国の狭間で翻弄され、くだらない見栄と建前を振りかざしながら亡国の道を進む朝鮮を主な舞台として、柳生宗矩、十兵衛、友矩といった、柳生の父息子、兄弟の間の確執や愛憎、そして柳生同士の闘いを描いたおバカ小説だ。
だが、物語の舞台となっている当時の東アジアの情勢とか歴史、はたまた朝鮮半島に勃興した歴代の国々に共通してみられる思想などに関する著者の圧倒的知識が、そんじょそこらの唯のおバカ小説にしておかない。
ほとんどの日本人が気にもしてこなかった江戸時代の中国・朝鮮を柳生一族が暗躍する物語に絡ませる・・・、その技法と物語内容のぶっ飛び具合に、私はいつも小躍りしてしまう。
常人の持たない朝鮮半島に関する歴史の知識をフル活用して、まったくもっておバカな物語を書く、こんなイカシタ小説家、他にいるか!?
<その他の荒山徹の柳生モノ>
『柳生百合剣』 『柳生陰陽剣』 『柳生薔薇剣』 『十兵衛両断』