『ダーウィンの夢』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ダーウィンの夢』


『ダーウィンの夢』   渡辺 政隆/著、 光文社新書(2010)



ここのところチョットしたマイブームのダーウィン関連本、しかも著者が渡辺政隆さんとあっては読まないわけにはいかない。

渡辺氏は、現在の日本で有数のサイエンスライターだ。グールド著『ワンダフル・ライフ』の翻訳本を読んで以来、氏の数々の訳著のお世話になっている。


本書、昨年末まで光文社のPR誌「本が好き!」に、『生命36億年の旅 -進化の物語を紡ぐ』と題して連載されていたのをまとめたものだ。 「本が好き!」は昨年末で休刊になった。渡辺氏はその休刊されたPR誌の最後の連載著者の一人となった。

「本が好き!」には、渡辺氏の連載の前には、福岡伸一氏の『できそこないの男たち ~Yの哀しみ~』が連載されてたりして、私好みのPR誌だったのだが・・・。

さて、

連載時のタイトル『生命36億年の旅』が、新書化されるにあたり、改題されて『ダーウィンの夢』になったようだが、連載時のタイトルの方が本書の内容を端的に表しているように思える。もっとも、渡辺氏が本書中で試みている説明の仕方は、事あるごとにダーウィン進化論を引き合いに出しているので、改題されても違和感はないのだが・・・。


で、その内容はというと・・・、


■序 章  始まりの聖地巡礼 ---カンブリア紀「生命の大爆発」の眠る山

■第1章  生命のゆりかご ---海底から熱水の噴き出す場所で

■第2章  交わるはずのない枝 ---原始生命体の進化

■第3章  ギャップを埋める ---アメーバは何を語るか

■第4章  カンブリア劇場 ---謎に満ちた生命の大爆発

■第5章  無限の可能性を秘めた卵 ---エボデボ革命が明らかにしたもの

■第6章  メダカの学校 ---魚類の登場

■第7章  とても長い腕 ---体内に刻まれる歴史

■第8章  地を這うものども ---新世界の誘惑

■第9章  見上げてごらん ---鳥が空を飛ぶまで

■第10章  巡り来る時代 ---「もしかしたら」の世界

■第11章  人類のショートジャーニー

■終 章  ダーウィンの正夢


地球に生命が誕生してから36億年とか38億年とか云われているようだが、その生命誕生からホモ・サピエンスへと至るまでの道筋、---といっても、まっすぐな道筋ではない。幾つにも枝分かれし、そのほとんどは途中で行き止まりとなる道筋だ----を、チョー大雑把に説明してくれている。

サイエンス・エッセイとでも云うのか、軽い読み物として、この大雑把さが丁度イイ。


普段、あまり科学モノは読まない、という方にお薦めです。



【ダーウィン関連本の過去記事】

『種の起源(上)』  『種の起源(下)』  『ダーウィンの思想 -人間と動物のあいだ』  『ビーグル号世界周航記』