『ザ・リンク』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ザ・リンク』


16日土曜日は資格試験の口頭試問だった。休日の午前9時半から10時まで、30分間の口頭試問を受け終えた私はとっとと試験会場を後にし、渋谷駅から湘南新宿ラインに乗り込み、内田樹の『日本辺境論』を鞄から取り出した・・・。

試験の前2,3日くらいは対策をしなければと思い、通勤の電車内では面白くも無い試験対策用の問答集を読んでいた。苦痛極まりない資料からやっと解放された身で読んだ内田樹は実に面白い。だが、これを読み終える前に自宅の最寄り駅に到着してしまった。 内田とは又の機会だ・・・。


お昼前に帰宅したので、そのまま家族で外食に出かけた。その出先のショッピングモール内の書店では、涌井良幸『道具としてのベイズ統計』 と 吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 と 『魔術師マーリンⅢ』 を購入。 まったく関連性のない3冊・・・。


             

外出から戻った私は、ここ数日行うことの出来なかった“楽しみとしての読書”をしようと思い、炬燵に入って「内田樹」を広げたのだが、休日の早朝から渋谷くんだりまで行って帰ってきたためか、どうにも眠くなって、そのままウトウトしてしまった。「風邪をひくから」とカミさんに起こされ、布団に入って寝直した。起きたらなんと21時。
遅い夕飯を食べ風呂に入り、その後しばらくして床に就いたはいいが、当然なかなか寝付けず、寝床では録り貯めたPodcastを聞いていた・・・・・。
それでも寝付けない・・・・。 枕元に目をやると、そこには何時ぞやに読みかけて置きっ放しになっていた一冊の本。
それが、『ザ・リンク』。
結局、午前5時過ぎまで読み耽ってしまった私の日曜日の起床はほぼ正午。ヤベーッ!と思いつつも、最後の1章を残していた『ザ・リンク』を昼飯(兼朝飯)後に読む・・・。 

THE LINK Uncovering Our Earliest Ancestor (2009)
『ザ・リンク ― ヒトとサルをつなぐ最古の生物の発見』  コリン・タッジ/著、 柴田裕之/訳、 早川書房(2009)

全身骨格の95%が残存する4700万年前の霊長類の化石。
その保存状態は奇跡的だった。骨格だけでなく、皮膚の外形が体毛に至るまで岩に写し撮られている。消化管の位置までが判り、その消化管に残されていた内容物までが分析可能な状態だった。
その霊長類化石に付けられた俗称は「イーダ」。
本書はイーダ発見に至る経緯と、イーダの分析から明らかになりつつある事についてが綴られたポピュラー・サイエンス。
本書の巻頭にはイーダの全身全景、頭・顎、手・足、指、爪、消化管の内容物、歯、これらの光学写真とX線写真が30枚ほども掲載されており、それらの状態からは素人目にも只ならぬ化石であることが判る。

はたしてイーダはヒトの進化に至る“ミッシング・リンク”の一つとなり得る化石なのか? 


第1章 イーダの発見
第2章 イーダの物語が始まる
第3章 イーダが生きた始新世の世界
第4章 メッセル ピット
第5章 霊長類はいかにして生まれたのか?
第6章 霊長類の進化
第7章 始新世から現代まで
第8章 イーダとは誰か? そして何者か?
第9章 イーダを世界に紹介する

少々大袈裟に書かれているようにも思えるが、この化石の重要性については良く理解できるようになっている。

霊長類の分類や進化に関する一般的な知識についても丁寧に説明されていて、こういった内容の本を始めて読む人にも判りやすいのではないだろうか。