『種の起源(上)』
- ON THE ORIGIN OF SPECIES BY MEANS OF NATURAL SELECTION (1859)
- 『種の起源〈上〉』 チャールズ・ダーウィン/著、 渡辺政隆/訳、 光文社古典新訳文庫(2009)
6版も改定された「種の起源」。そのうちの敢えて初版を翻訳したらしい。
自然淘汰に関する説明は、今の時代ではしつこく感じる。だが、本書が出版された時代にはやむを得なかったのだろう。そこまで周到に説明しなければならなかった・・・。教会が押し付け、この時代に蔓延る「創造説」に反証し、否定するためには・・・。
一方で、この時代、ダーウィンだけが進化論や自然淘汰説を唱えていたわけではないことが良く判る。ダーウィンが本書で採り上げている動植物の自然淘汰を示す事例には、他の科学者による観察や園芸家・牧畜家による経験則がふんだんに取り入れられており、こういった人達をはじめとして、結構多くの人達が、「すべてのモノは神が創った」などという戯言を信じていた訳ではなかったのだ。そりゃそうだろうね。
ダーウィンって人の論拠の挙げ方は非常に謙虚であることも判る。オリジナルの学説の発表に際して慎重であるのみならず、謙虚でもあることは科学者としての一流さを示す指標でもある。
イイのを読んだ。お薦めです。
今後、下巻も刊行される。