『本取り虫』 | 本だけ読んで暮らせたら

『本取り虫』


『本取り虫』  群 ようこ/著、 ちくま文庫(1996)


ここのところ、仕事では、解析業務が一段落して、論文などを書いている。平行して、ある学会の委員会の報告書も書いてる(締め切りはとっくに過ぎているが・・・)。ここんトコ一ヶ月くらい、やたらと文章を書いている。

こんな論文やら報告書やらを書く際には、関連する分野の他の研究者や技術者の書いた文章も読まなければならない。だから、一日中、小難しい文章に晒されている。

んなモンで、仕事以外での読書では、簡単な文章の本、気楽な内容の本が読みたい。それにはエッセイが良い。

ここ何日かの記事で、エッセイ本ばかりを紹介しているのも、こういった状況だからです。

で、今日もエッセイ。「ブ」の105円本。


エッセイってのは、簡単な日常語で、気楽な内容の物言いをすることが多いけど、だからといってまったく読者の感情に訴えるものが無いかというとそんなことはない。今までの自分では気付かないことに気付かせてくれたり、驚きだったり、共感だったり、反感だったり、読んでいると所々にそんなモンが湧き上がってきて、普段では表に上がってこない自分の感情を浮かび上がらせてくれたりする訳だ。そんなことを起こさせてくれる文章に出くわすのがエッセイを読む醍醐味だったりする。


しかし、この本にはそういったことがまったく無かった。

この本、最後の方は、もう、ほんとに流し読みした。2/3程度まではチャンと一文字一文字追って読んでいたんだけど、書いてあることが、まったくもって普通のことばかりで、ありきたりの感情や考えが述べられているだけ。常人があまり持つことの無い、著者独自の感性が発揮されているトコ、私などが気付かないような驚きや意外性のあるコト、アホらしいご託宣、などがついぞ見られない内容だった。少しも、ビビッ!と来るところがなかった。


まったく記憶に残らない内容・・・、今の私にはうってつけの本だったのかもしれない。ア~ア!