『夜の来訪者』 | 本だけ読んで暮らせたら

『夜の来訪者』

AN INSPECTOR CALLS (1947)

『夜の来訪者』  J.B.プリーストリー/著、 安藤貞雄/訳、 岩波文庫(2007)


戯曲の名作らしい。何度も舞台で上演され、映画化もされたらしい本作。

1912年のイギリスの裕福な実業家の家庭を舞台とした作品。1947年に書かれたということだから、かなり古めかしい作風。でも、訳は新しいから読み易い。しかも、わずか160ページ・・・あっという間に読める。


登場人物は、実業家アーサー・バーリング、その妻シビル、娘のシーラ、息子のエリック、シーラの婚約者ジェラルド・クラフト、バーリング家のメイドのエドナ、の6人。

バーリング家では娘シーラの婚約を祝っている。

そこへ突然の来訪者、グール警部登場。

グール警部は、一人の貧しい若い娘が消毒剤を飲み自殺したことを告げる。

その娘の自殺には、バーリング家の全員が関わっていることが暴かれていく。そして・・・・・


本作のエンディング、当時としては“大どんでん返し”の終わり方なのだろうが、数多出版される現代ミステリの中にあっては、さして驚くべきエンディングでもない。

しかし、グール警部がバーリング家各人の人間性を暴いてみせる場面や、グール警部が去った後のバーリング家一同の会話の中には、時代によらない普遍的な人のぶざまな姿が描かれている。

そのあたりが名作と称される所以か!? まあまあだったかな。。。