『耽溺者(ジャンキー)』
SHOOTING AT MIDNIGHT (1999)
『耽溺者(ジャンキー)』 グレッグ・ルッカ/著、 古沢嘉通/訳、 講談社文庫(2005)
ボディーガード、アティカス・コディアックを主人公とするシリーズのスピンオフ作品。シリーズ第4弾とも云える。
このシリーズの作品はどれも私の好みなのであるが、今回読んだコレはシリーズ中の最上位にランクされる。
今作での主人公は、アティカスの恋人で、私立探偵のブリジット・ローガン。
アティカスを主人公とした前3作に比べて、ハードボイルドっぽさが、より強調されている感じ。
というのも、主人公ブリジットが頑固、意固地なひねくれ者で、面倒事の全てを一人で背負ってしまう性格を帯びているからだ。
作中では、ブリジットのどうしようもない愚かさや、命を失うかもしれない恐怖に晒されながらも自身の意地とヒトとしての尊厳を守り通す姿が描かれる。
何のために?、どんな価値観を持って?、そこまでの意地を張り通すのか?? そのキャラ設定や動機付け次第では白けてしまい、失敗に終わってしまうことの多いハードボイルドものだが、この作品のブリジットの性格描写や事件に入り込んでいく際の動機付けには共感できる。
シリーズ主人公のアティカスを完全に食っている。
ブリジットの愚かさはカッコいい!
お薦めです。
【アティカス・コディアック シリーズ】