『勝手に生きろ!』 | 本だけ読んで暮らせたら

『勝手に生きろ!』

FACTOTUM (1975)
『勝手に生きろ! 』 チャールズ・ブコウスキー/著   都甲幸治/訳  河出文庫(2007)


著者と思しき主人公チナスキーが、アメリカ中の都市を彷徨いながらハチャメチャに、無目的に生きている様子を描く自伝的な(?)小説。


主人公は、各都市で様々なハンパ仕事をしながら食いつなぎ、金に余裕があれば競馬などに手を出し、余裕がないときでも酒は欠かさず大体が酔っ払っている。なぜか女にモテる。

主人公チナスキーには、生きることに対して大仰な目的を持っている節は見当たらない。僅かな慰み、喜びといえば、短い作品を出版社に送り、それが稀に掲載されたときだけだ(できれば小説家になりたい、と思っているらしい・・・)。


新たな都市にたどり着いては、安宿を見つけ、給料の安い仕事にありつき、いい加減な仕事をし、酔っ払って解雇され、また酒を飲む。その繰り返しを延々と綴っただけの物語である。しかし、社会・集団・規律を嫌い、我が道を自堕落にフラフラしながら彷徨い歩く主人公が羨ましく感じられてしまう。

こういう暮らし、生き方に憧れるアホな男(雄)の感情を揺さぶる物語を描くのが、ブコウスキーのブコウスキーたる所以だ。 お薦めです。