『五足の靴』
明治40年。今からちょうど100年前の夏。五人の若き文学者達が、北・西九州におよそ1ヶ月の間遊んだ際の紀行文をまとめたのがこの本。100年後に文庫化か・・・すごいネ。
五人の若き文学者とは、与謝野寛(鉄幹)、北原白秋、平野萬里、吉井勇、太田正雄(木下杢太郎)。
私は文学などほとんど読んだことがないものだから、この5人のうち、精々が与謝野寛と北原白秋の文字をどこかで見たことがあるくらいで、他の3人の名前はこの本を読んで初めて知った。(相変わらず恥を晒しているナ・・・・)
この紀行文、日本の文学史上でも価値あるものらしい(その詳細については、例えばwikipedia を見ていただきたい)。
こういった経緯や背景をまったく知らず、単純に、なんだか面白そう! 薄い本でいいかも! と思って衝動買いした私のような文学音痴でもソコソコ楽しめる。
それもこれも、九州という未知の土地で見た、書き手にとって新鮮な題材を選んでいること、書き手にとって束縛のようなものもなく、自由に書きたいことを書いている、そんな雰囲気が伝わってくるような粋(活き?)のイイ文章だからだろう。
おそらく当時の口語体で書かれた文章は、どれも軽妙で洒脱。100年前の九州各地の様子や人々の振る舞いについて書かれた場面などはナカナカ面白い。
そうそう、
“酒は~飲ォめぇ飲ぉめェ、飲ォむゥなァらァば~、・・・” の有名な勧酒歌である「黒田ぶし」は 「黒田武士」だったんだネ。この本を読むまで 「黒田節」 だと思ってた。(またまた大恥を晒す・・・)