『「法令遵守」が日本を滅ぼす』
- 「法令遵守」が日本を滅ぼす 郷原 信郎/著、 新潮新書 (2007)
“法令遵守”、“コンプライアンス”・・・金科玉条のように唱える輩が私の周りにもいる。
そういう輩を見ていると、ホント、げんなりする。
日本は、精緻な法体系が整備された「法令国家」であって、未だ真の「法治国家」には成り得ていない・・・非法治国家たる法令国家・・・と著者は云う。
単純に法令を遵守することが社会的要請に応えることとは限らない、とも云う。
なるほど、と思う。
国もさることながら、身近な会社でもまったく同じ。法の代わりに社則やマニュアルと置き換えれば、そのまま当てはまる。
テレビ、新聞の垂れ流しの情報のままに訳も判らず、“法令を遵守しろ”、とか、“コンプライアンスを確立しろ”、とか言っているのを聞いても、また言い訳を用意しているだけじゃネ~か、またアリバイ作りかよ、と思ってしまう。。。
おそらく、そのように感じている人たちがたくさんいるに違いない・・・。
猫も杓子もの「法令遵守」・「コンプライアンス」という言葉に胡散臭さを感じていた人たち、なにか変だと漠然とした気持ちを持っていた人たちに、その胡散臭さが何であるかを、ある程度明瞭な言葉で説明してくれているのが、この本だ。 (探してたんだ 。ヤット見つかった。)
日本の法令・・・、各企業で作っているマニュアル・・・、所詮成文化されたものなど、事があったときには機械的・形式的にしか対応できないのである。世の中のほとんどの出来事はただ一度しか生じない。・・・にも拘らず、文章化されたものを絶対視する。。。
ほとんどすべての出来事がユニークなことであるのだから、その場その場で最善と考えられる方法・手段を採るしかない。そんなことも判らずに、ただルールを守って仕事をしていれば良いのか??
そんなふうに仕事していて面白いかい!? 面白くない仕事なんてしたくないだろ!?
マニュアルに書かれたことしかできなくなりつつある日本への問題提起の書。 お薦めです。