『真説 鉄砲伝来』 | 本だけ読んで暮らせたら

『真説 鉄砲伝来』


『真説 鉄砲伝来』  宇田川 武久/著  平凡新書(2006)


学校の日本の歴史の授業では・・・、


●鉄砲は種子島に漂着したポルトガル人によってもたらされた。

●そして、戦国の世を迎えていた日本の各豪族たちに新兵器として直ちに取り入れられ、合戦の方法をも変化させた・・・・・。


などと教わった記憶がある。

学校の授業だけでなく、戦国時代の歴史物語や時代小説などを読んでいても、大抵は同種のことが書かれている。


ほぼ、日本人の常識として認識されているこのような説を著者は疑う。

どう疑うかというと・・・・・、


■四方を海で囲まれた日本。にも拘らず、種子島・・・・・この島、ただ1箇所から全国に伝わったとされること。

■16世紀中頃の日本には、海外からの来航船が頻繁にあったこと。
■種子島伝来・・・その通説の根拠となっている『鉄砲記』という書物の信頼性に疑問が残ること。

■鉄砲伝来から戦闘方法の変革までの期間があまりにも短期間であったこと。
など。


これらの疑問に対して一つひとつ反証し、著者なりの新たな考えを提示する。

この本に書かれたことが、どこまで真実に近付いているのか? この “新説” が “真説” となることはあるのか? それは私には判らないが、著者の通説を疑う姿勢と新たな説を発表する行動はすばらしい。


通説を疑ってかかる態度、通説に取って代わる新たな説=仮説を立てること、その仮説を様々な方法・手段を用いて合理的に構築すること、新たな解釈をしてみせ、それを世に問うこと、などなど・・・・・。これぞ、まさしく学者の仕事だ。


なんといっても読み物として面白い。 コレが重要!


でもね・・・、このテの “歴史を読み解く本” はいつもそうなのだが、旧仮名遣いや旧字や人名をもう少し読みやすくしてもらいたい。ふんだんにルビを振って貰いたい。再出の文字であってもルビをお願いしたい!

私は漢字を読むのが(書くのも)苦手・・・。

読むのにヤタラ時間がかかった。

この読み難ささえ無ければ “お薦め” だったのだが・・・(個人的で、しかも一方的な都合でゴメンナサイ・・・・・)。