『アークエンジェル・プロトコル』 | 本だけ読んで暮らせたら

『アークエンジェル・プロトコル』

アークエンジェル・プロトコル

ハヤカワ文庫SF(2006)




ハヤカワ文庫のSF(さいえんす・ふぃくしょん)に区分されているにも拘らず、シェイマス賞(アメリカ私立探偵作家クラブ賞)を受賞したとかいう作品。 サイバー・ハードボイルド・・・・・?


↑↑↑ この事実に、ホントか???と思って、衝動買いしてしまった。



西暦2076年。

リアル・ワールド(現実世界)の舞台は世界大戦後の荒廃したニューヨーク。

先の大戦における最終兵器メデューサ爆弾によってガラス状に結晶化し、同時に放射性物質が残留している旧ニューヨーク市街地の上空には、人々が暮らす幾重にも重なった階層が存在し、それらの階層はチューブ状の透明トンネルが結んでいる。


科学技術文明の果てに生じた戦争を後悔した人々は、大戦後に台頭した様々な宗教の信徒となった。それらの人々はネットワークの複雑な連結によって構築された“リンク社会”という新たな文明を構築していた。

そんな現在のアメリカでは、リンク社会とも関連しながら、2つの宗派から選出された候補者たちによるアメリカ大統領選が争われている。


一方、結晶ガラス物質に覆われ、放射能が残留する地上にはゴルゴンと呼ばれる生物が生息する。彼らは、大戦時のメデューサ爆弾に被爆し、旧市街地に取り残された人々の末裔だった。彼らの寿命は短く、幾世代にも渡って交配した結果、知能レベルの低い人類亜種として存続している。



主人公は、美貌の私立探偵ディードリ・マクナマス。

彼女はかつて、リンク社会かつ宗教社会を守るニューヨーク市警の刑事であったが、あるネットワーク犯罪を追っている最中、相棒のダニエルが突如起こしたローマ教皇暗殺事件に同調としたとして、教会を破門され、警官としての職を解かれ、ネットワークへのリンク権利をも剥奪された。


現在のディードリは、こめかみに埋め込まれているレシーバーに手で触れる癖が抜けない。1年以上も前にアクセスができなくなっているリンク社会への復帰のためには、どんなことでもしかねないと自覚している。

そんな彼女の元へ仕事の依頼が舞い込む。

依頼者は、彫刻のような均整の取れた姿のマイケルと称する青年。依頼内容は、「リンク・エンジェル」と呼ばれ、現在、リンク社会を騒がせているものの謎を追うこと。報酬はリンク社会への接続を回復すること・・・。


アメリカ大統領選、元相棒ダニエルが起こしたとされる教皇暗殺事件、リンク・エンジェル、リアル・ワールドに現われた天使・・・・・、これらの錯綜した謎を追いかけ、ディードリがリンク社会と現実社会を駆け抜ける・・・・。



なんともカッコイイ題名と状況設定・・・・・だと思って読んでいたが、読後はなんとも複雑な気分。

読む前に期待していた “サーバーパンクとハードボイルドの融合” とはだいぶ異なっていた。ディードリは決してハードボイルドの主人公でも、ミステリ作品の探偵でもなかった。

・・・というか、ミステリ作品という先入観は持たない方がよかった。


何故、私立探偵作家クラブ賞??? というような内容だった。 SFとミステリとファンタジーの融合???

SFとも違うような気がするし・・・、

私には、ファンタジーでは・・・との感じが強い。ただ、ファンタジーとしては少々中途半端なような気もする。何でもかんでも詰め込み過ぎだ。

ん~、ちょっと消化不良。でも、シリーズ化されているらしい続編は気になる・・・。