ひと味違う、大人になる。
書店・出版社では、秋の読書キャンペーンが展開されている。
今月、文春文庫から出た、トマス・H・クックの新作 『緋色の迷宮』 を買ったついでに、“ひと味違う、大人になる。” というコピーの、「ハヤカワ文庫 秋のHOT HIT 100」 キャンペーンの小冊子をもらってきた。
この小冊子では、ハヤカワ文庫作品の紹介として、書評というか?、解説というか?、エッセイというか?・・・・・いろいろな人が、いろいろなことを書いている。
翻訳家でミステリ評論家でもある小鷹信光氏は、“名作に酔う---クラムリーを読め、ぜんぶ” と題して、ジェイムズ・クラムリーの作品について語っている。
ハードボイルド・ミステリの何を読んでいいのかよく判らない初心者のために、小鷹氏は、チャンドラーの『長いお別れ』やハメットの『マルタの鷹』など、名作と云われている作品を読むように進めている。 その名作と呼ばれる作品の中には、クラムリーの6作品全てが入るといっている。
ジェイムズ・クラムリーは、25年間でたったの6作しか書いていない寡作な作家である。私も全作読んだ。小鷹氏の云われるとおり、どれもが傑作である。
■ 『明日なき二人』
■ 名探偵なのか? ミロ・ミロドラゴヴィッチ “テーマ企画! 「名探偵で行こう!」”
そして、なんと!その寡作な作家の第7作 『正当なる狂気(仮題)』 が翻訳を待っているとのこと!
この情報を知っただけでも、このキャンペーン冊子を読んだカイがあったってもんだ!
漫画家、小説家、エッセイストの いしかわ じゅん氏が紹介するのは、“なつかしの傑作マンガ---ただひとりの人” と題して、ふくやまけいこ作『東京物語』という漫画と作者について語っている。「マンガ夜話」での氏の語り口を想像しながら解説を読んだ。
『東京物語』 読んでみたくなった。
“名画を読む---グレアム・グリーンの時代” と題して、評論家の川本三郎氏が推すのは、グレアム・グリーンの 『第三の男』 である。この他にも、グリーンが書いて映画化された作品を数多く挙げている。
川本氏は、『第三の男』は “敗れた国の物語” であるとして、この映画が上映された頃の日本の状況や日本人の心情とがリンクし、それが日本で評価の高かった理由ではないかと云っている。なんとなく納得させられた。
北上次郎氏は、 『マルドゥック・スクランブル』 を挙げている。この小説のカッコよさを北上氏も絶賛している。確かに面白かった。
■ 『マルドゥック・スクランブル The First Compression-圧縮』
■ 『マルドゥック・スクランブル The Second Combustion-燃焼』
■ 『マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気』
この他にも後3名の方、作家の小池真理子氏、心理学者の多湖輝氏、ミステリ小説書店オーナーの小林まりこ氏が、ハヤカワ文庫の作品について語っている。
このキャンペーン小冊子、ミステリ好きの方にはお薦めです。 タダだし! ひと味違う大人になれるし!?