『デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより』 1
ことぶき つかさ/著、 角川書店 Kadokawa Comics
「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」という有名なアニメーションのマンガ版。ただし、単にアニメをマンガ化したのではなく、アニメには描かれなかったサイド・ストーリーを描いている。
主人公はモビル・スーツなどの操縦をするパイロットではなく、カイ・シデンという名前のフリー・ジャーナリスト。
実はこのカイ・シデンという人物、「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」に先立つテレビシリーズ「機動戦士ガンダム」で、パイロットをしていたのだが、この作品では、最初のテレビシリーズから数年後の世界が描かれており、そこでは彼は既にパイロットではなく、フリーのジャーナリストと自らを称しながら、ある陣営のための情報工作を行っている、という設定。
作中、カイ・シデンが行っていることといったら、いろいろな人物達に合い、会話しているだけである。派手なアクション場面などはあまり無い。
彼が肩入れする陣営を有利な戦局に導くために、“情報”という武器を使って様々な工作を行う。この情報工作の際にカイ・シデンが語るガンダム世界の情勢分析や人物評などを読んでいると、これが結構オモシロい。時には自陣営の弱点を冷静に分析したり、敵陣営の行動の裏を読んだり、・・・・と、まさにスパイ(情報分析官)だ。
モビル・スーツなどのハード機器を一切用いることなく、言葉・情報・インテリジェンスのソフトだけを武器として携え、世界中を動き回るカイ・シデン。私は、なんとなく幕末の坂本龍馬を思い出した。
このカイ・シデン、確かテレビシリーズでは“ダメ・キャラ”として描かれていたようだったが、このマンガではかなりカッコイイ。