『まよなかのはんにん』
マージョリー・W・シャーマット/著、 マーク・シマント/画、 光吉 夏弥/訳、 大日本図書
パンケーキをこよなく愛す9歳の少年ネートが綴る事件簿(日本語版全6作)の第2弾。
第1作目は娘が学校の図書室で借りてきたものだったが、私のほうが嵌ってしまった。続けて2作目、3作目を読みたいと思い、娘に学校から借りてくるように頼んだが、学校のルールでは1週間に1冊しか貸し出さないのだそうだ。(まったく)
しかたがないので、市の図書館で借りてきた。
今回も、「ぼくは めいたんていの ネートです。」 で始まる。1作目も3作目も出だしは皆一緒だ。
伝統的なハードボイルド小説を踏襲するかのように、ネート君の一人称視点で事件の顛末が語られる。
今回の事件は、ネートの友人オリバーから、“ゴミのカンを夜中に漁る犯人を見つけ出してほしい”、というもの。
犯人を探し出すために徹底した調査を行うネート。夜行性の動物、ねこ、ねずみ、こうもり、スカンク、あらいぐま、もぐら、・・・を洗い出す。これらの動物の好みと嫌いなものも・・・。
前作もそうだったが、このシリーズにはネートの友人とその友人達が飼っている動物が良く登場する。前作では、女友達アニーとその愛犬ファング。そして、ロザモンドという娘と4匹の愛猫。この変わった友人達とそのペットとの係わり合いを描くシーンもこのシリーズの特徴だ。
今回はネートにも、野原で見つけたスラッジという犬がいる。古くなったパンケーキを食べているところに出会い、仲間だと思った、と云っている・・・。
さて、犯人を突き止めるためにネートは夜中の張り込みを行う。ネートにとって夜中の仕事は始めてだ。夜中の外出には、ママに置き手紙を残していく・・・、イイ子だ。
張り込みで出くわしたのは・・・、スカンク!
ネートはオリバーに、こう助言する。“ゴミのカンの横にナフタリンを入れたカンを置くといい。スカンクはナフタリンの匂いが大嫌いだからネ”
しかし、次の朝、オリバーからは、また、ゴミのカンがひっくり返されたことを告げられたのだった。
いったい・・・? 何かを見逃していた???
考えに考えた末にネートがたどり着いた結論とは・・・?
犯人の目星は付いた。しかし、証拠を掴まなければならない。ネートは根っからの探偵だ・・・。
今回の事件の犯人を推定するためのキー・アイテムとして、パンケーキが使われている。そのアイテムの使い方、伏線の張り方は、小学校1・2年生を対象としている作品としては高度で侮りがたい。
まったく、見事というほかない。
やはり、このシリーズ、全作を読まなければならない。