『文明崩壊』 その4
ジャレド・ダイアモンド/著、楡井浩一/訳、草思社
上巻の6・7・8章では、ヴァイキングによって築かれた北大西洋の6箇所の社会について語られている。特に、7・8章では、その6箇所の中のひとつ、グリーンランドにおけるノルウェイ人社会の崩壊にページを割いている。
6章中で語られるアイルランド社会は現在まで存続しているが、同じ北大西洋の島であるグリーンランド、その地におけるノルウェイ人社会が存続できなかったのは何故か? というところに焦点をあてている。
崩壊の要因としては件の5つが挙げられる。ただ、今までのケースと異なるのはアイスランドもグリーンランドも中世ヨーロッパの文化、価値観、宗教(キリスト教)を有していたことである。一方の社会(アイスランド)は現在まで存続し、他方の社会(グリーンランド)は崩壊した・・・。
その分かれ目がどのようなところにあったのかを考察するために、これだけのページ数を費やした・・・、長かった・・・。
ここまでの8章をもって、ひとまず過去の文明の崩壊事例に関する説明が終わる。
それにしても、これらのケース・スタディに関する説明ときたら執拗なほどである。異なる時代の異なる地、異なる文化を持つ社会がどのようにその崩壊の道筋を辿っていったのかを、繰り返し、繰り返し説明する。
正直、マヤ文明の崩壊あたりまではオモシロく夢中で読んだが、アイルランド、グリーンランド編は少々飽きがきた。
さて、下巻の最初、第9章では、環境破壊に端を発した文明(社会)が崩壊に陥りそうになりながらも回避した事例、環境を回復させて社会を存続させた事例を採り上げている。
ここでは江戸時代の日本も紹介されている。
これら反例の説明あたりから、文明崩壊の一般性・法則性のようなものが見えてくるのか?
ここまで読んだ以上、もっと面白くなってもらわなければ・・・
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