『まじょのけっしん』
中島 和子/著、 秋里 信子/絵
過日紹介した 『さいごのまほう 』 の続編です。
前作で、最後の魔法を使って魔女が変身した “いいもの” は、ベンチでした。
小高い丘の上の、古いクスの木の下に、そのベンチはありました。もう長いこと居続けて、ベンチはかつて自分が魔女だったことも忘れていました。
ある日、そのベンチに腰掛けた少女は、すわり心地の良いベンチがすごく気に入りました。そしてベンチもまた少女のことが気になりました。
少女は毎日決まって夕方にベンチに座って、バスから降りてくる父親の帰りを待っています。父親を待つ間、少女は自分を暖かく包み込んでくれるベンチと会話をしているかのような気分です。
ある日、古びたベンチを撤去しようという話が聞こえてきました。ベンチは恐れます。もう一度、魔女に戻ろうと思っても、最後の魔法を使ってしまってから、もう随分時がたっています。すでに力もありません。
真夜中、古いクスの木の枝の間から差し込む月光がベンチに不思議な力を与えます。
そして翌朝、クスの木の下には一人の老女が座り込んでいました。
魔法の力を得た魔女は、少女のために再び変身します。はたして何に?
児童向けの他愛のない話ですが、休日のちょっと空いたヒマな時間に読むにはちょうどイイです。なんだかイイ気分にもなりますし・・・。